児島のカフ、午前6時。

 喫茶店の朝は早い。早朝のお客の目当ては、「モーニング」と呼ばれる朝食のセットメニューだ。典型的なのは、トーストとサラダ、ゆで卵にコーヒー・紅茶というシンプルな組み合わせ。通勤途中、このモーニングで朝食を済ませてから会社に出る、という人も珍しくないだろう。
   倉敷市児島にある「和光」。開店時間が朝の6時とめっぽう早い。かつてはほかの店同様に8時だったが、年月が経つにつれて常連客の年齢層が上がり、常連の年齢層が上がるにつれて開店時間が早くなっていった。7月の某日、開店10分前に入店し、どんなお客が来るのか待機してみた。
 待つこと数分。早速、60歳代後半とおぼしき男性客がふたりやって来た。開店時間の6時までには5分あった。ふたりはまっすぐカウンターのすぐ前のテーブルについて、コーヒーをオーダー。ふたりともキャップをかぶり、白っぽいスポーツシャツに短パン姿で、テニスの練習でもしたかのような風情だ。カウンター越しにマスター夫妻とひとしきり世間話に興じている。どうやらかなりの馴染みらしい。
 ふたりは和光の近所に住む、三宅節義さん(77歳)と大野孝さん(69歳)。早朝に散歩をしているうちに知り合い、一緒に歩くようになった。ふたりが和光に来るのはいつも散歩の帰り。和光に通い始めて5年になるという。「一緒に歩く人がもうひとりいるんですけど、彼は来たり来なかったりで。わたしたちは日曜日以外、だいたい毎日です」(大野さん) 「5時から歩き始めて、5時50分にここに寄ります。雨が降ったら歩きません。でも、必ずここには寄ります」(三宅さん)
 7時までの1時間、三宅さんと大野さんはここでのんびりと過ごす。喫茶店が彼らの日課にしっかり組み込まれている。