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Editor's Note Fall in Love with KURASHIKI CAFFS
木村秀樹 Kimura Hideki
創業55年の老舗のお餅屋「尾道屋」の三代目。 1957年、倉敷生まれ。
空手、野球、トライアスロンなどスポーツ万能。喫茶店歴15年。
尾鷲孝峰 Kouhou Owashi
陶芸家。1948年、佐賀県生まれ。
88年、倉敷市児島で備前焼の「鷲羽窯」を設立。喫茶店歴38年。
赤星:
まずはおふたりの常連の度合いからうかがいます。尾鷲さんはどれぐらいの頻度で喫茶店に?
尾鷲:
ほとんど毎日だね。いつも行くのはそこのセピア。休みの日曜日だけはここに来とるね。
木村:
ぼくはここのお休みと仕事の休み以外の日、だいたい水・木・金・土の週に4日ぐらいじゃな。
赤星:
ふたりとも時間帯も決まってますよね。
尾鷲:
朝は7時半から8時半ぐらい。夕方にもう1回来るから、一日2回だね。
木村:
ぼくは配達が終わって来るから、朝の11時半から12時ぐらい。
赤星:
いつから喫茶店通いが習慣に?
尾鷲:
長いよ、サラリーマン時代からだから38年ぐらいになる。それからほとんど毎日喫茶店に行かない日がない。
木村:
そんなに昔じゃないんですよ。15年ぐらい前かな。コーヒーが飲めなかったしね。コーヒーが飲めるようになったのは最近なんですよ。
尾鷲:
そうね(そうなの)? それまで何飲んでたの?
木村:
ミックスジュースとか、チャイとか。
尾鷲:
チャイ?
木村:
あるんですよ、ミルクティーみたいなやつが。
尾鷲:
ああ、トルコとかで、こんなちっちゃなグラスで飲んでるやつね。
木村:
あるとき、気分を変えてコーヒーでも飲んでみるかと注文してみたら、ハイってチャイが出てきた(笑)。
チカ:
だってコーヒー飲めんの知っとるもん。
赤星:
みんな喫茶店で何をやってるんですか?
木村:
ぼくはいつもここにいる常連が目当てですね。だから午前中のみんながいるとき以外はまず来ない。
チカ:
ここのカウンターの席にいる人たちが時間帯で違うんよ。
木村:
たまに、いつもの時間にいないときがあるんですよ、そんな日は帰るときに少し寂しい気持ちになるからね。
赤星:
いつもの常連は何人ぐらい?
木村:
5人くらいかな。ジローとか、そめとか。会わないと、「今日、ジローは? そめは?」って。3回会わないと心配になってくるんです。
チカ:
もうみんな習慣なんよな。
赤星:
尾鷲さんも常連さんと?
尾鷲:
わたしは常連とはあまり話さない。だいたい決まってる顔がいるけどね、あいさつぐらいで。
赤星:
それはまた……。
尾鷲:
だって、話しだしたらきりがないじゃない?
赤星:
じゃあ喫茶店で何やってるんですか?
尾鷲:
新聞読んでる。朝行ったときに日経新聞と山陽新聞をすみからすみまで。あそこ(セピア)は新聞が揃ってるのよ、日経と山陽新聞、それにスポーツ紙がいくつか。だからあそこに通ってるようなもんよ。
木村:
でも、尾鷲さん、ここに日経があったとしても毎日ここには来ないでしょ?
尾鷲:
はははは、そうね。
赤星:
いつもお決まりの席があるんですよね?
尾鷲:
カウンターの窓際の席。誰かがそこにいても、ぼくが入ってくるとスッと席を空けてくれることもよくある。
赤星:
『十戒』のモーゼみたいですね。
木村:
ぼくはだいたいここのカウンターなんだけど、たまに座れんときがあるんよ。そのときはテーブルに座る。でも、帰るまでにちょっとでもカウンターに座らんとなんか気持ち悪いんよなあ。
尾鷲:
ここで5人もおったらやかましいじゃろう?
赤星:
ひとり声のデカい人がいますよね。
尾鷲:
セピアにもおるんよ、前期高齢者軍団が(笑)。耳が悪いから声がデカいんだよ。だいたい9時頃に来るから、わたしはそれまでには帰る。
木村:
でもね、店がいっぱいのときは、お客さんに「どうぞ」って、カウンターの席を譲ってあげたりもするんですよ。
尾鷲:
あんまり長いこと通ってたら、常連は店の立場になってくるわな。
チカ:
ほんまよ。いろいろなあ、みんな助けてくれるんよなあ。
木村:
モノが壊れたらジローが直すし。うちなんか、あれいらん、これいらんゆうて、廃品回収所みたいになっとるけんなあ。
赤星:
ところで、お気に入りの喫茶店を決めるポイントって、どこにありますか?
尾鷲:
やっぱり雰囲気でしょ。ここみたいなのは最高じゃわなあ。
赤星:
チカちゃんの笑いがひきつってますよ。
尾鷲:
読みたい本があるのも大事よな。セピアには『サライ』とか『BE-PAL』がある。ぼくが頼んで入れてもらったんだけどね。
木村:
ぼくはやっぱり人じゃわなあ。
尾鷲:
てっちゃんにとっての喫茶店は「集い」が目的よな。
木村:
まさにそうですね。
赤星:
毎日、集まって何を話してるんですか?
木村:
何を話しとるんじゃろうなあ(笑)、たわいもないことなんよ。子供のこととか、身近であったこととか。仕事の話なんかまずせんわなあ。せちがらいし、悲しくなるから。
尾鷲:
昔はね、青年宿と呼ばれていた寄り合い場所があって、地域のコミュニティーとして機能していた。それがいまはここみたいな喫茶店になってるんだろうね。地域で気の合う人たちが集まるコミュニティー。
木村:
最初はとっつきにくさはありますよね。ぼくも行きだしてもポツポツで、こうやって通うようになるまでにはだいぶん時間がかかったけんなあ。
赤星:
店を決めるのにコーヒーの味は大切ですか?
尾鷲:
もちろん。それにオーナーの品かな。
木村:
ぼくはもともとコーヒーが飲めなかった人間だから。
赤星:
いつも頼んでいるのは?
尾鷲:
コーヒー。ブラックで。
木村:
ぼくは砂糖とミルクを入れます。コーヒーを頼むのは手っ取り早いから。
尾鷲:
喫茶店がいいのは、わたしの場合はデザインが浮かぶ。ふっとね、思いつくのよ。そのときのために店が(裏に印刷していない白い折り込み)広告を用意してくれていて、そこにサッサッと思いついたデザインを描く。
木村:
あの喧騒がいいんでしょうね。
尾鷲:
そう、喫茶店というのは喧騒なんだよ。
木村:
喫茶店の喧騒って独特なんですよ。そのせいか、喫茶店でひとりでいるときって、普段考えないようなことを考えてる。人間関係とか、人生についてとか。ひとりで焼き鳥屋に行ってても、そんなこと考えんからね。だいたい、「この焼き鳥おいしいなあ」とか、「明日は朝が早いから早く寝んといけん」とか、くだらないこと考えてる。
尾鷲:
音楽も関係あるよな。ここの店はいいよ。(店内にかかっていたジャズを指して)こういうのはいい。
木村:
よく有線放送を流しっぱなしにしてる店があるけど、ここはちゃんとCDをかけてますからね。
尾鷲:
あれだね、喫茶店はやっぱり憩いの場だね、最高の憩いの場。
木村:
ぼくらが主導でいられるのがいいですよ。いたいだけいられるし、帰りたくなったら帰ればいいわけだから。そうはいっても、半分店の人の気分なんですけどね。