蟲日記

蟲日記

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01・・・>イギリスはケント州ダンジェネス、デレク・ジャーマンの庭にて。 赤い多肉植物のまわりにちょろちょろ生えているのはヒツジゴケの仲間。
02・・・>倉敷の我が家の庭にて。これも同じヒツジゴケの仲間。なんとなくうれしい。

趣味はコケ観察

 「趣味はコケ観察」などと言うと、よく怪訝な顔をされますが、例えば、薔薇よりもタンポポが好き、ということに、普通あまり理由らしい理由がないように、わたしは花よりもコケが好きだというだけのことなのです。
 コケは、遠目にみると、あまり立体的には見えないかもしれませんが、じつは彼らにも茎や葉がちゃんとあります(一部、あまり明確でないものもありますが)。また、どれもこれも同じに見えても、実際には、世界には20000種、日本だけでも2000種類近くのコケが生育しているのです。
 道端に生えているひと塊のコケに近づいて、じっくり見てみると、たいていは2〜3種類混ざっているもので、それを、「あ、こっちはホソウリゴケで」「こっちはギンゴケね」などと言って分類して行くのがわたしの趣味。たしかに地味には違いありません。
 ただ、そんな、たったひとつまみ程度の中にも、それだけ違いがあるのですから、自分の家の敷地内と考えれば、もうそれはめくるめくような世界です。
 庭の敷石のまわり、植木の幹や根本、プランターの中、お隣さんとの境のブロック塀……たぶんそれだけで軽く10種類以上はあるはず。しかも、近づいてルーペで覗いてみると、そこには驚くほど美しく精巧な世界が広がっています。さまざまな色や形のコケの森。一瞬、自分の大きさや重さを忘れてしまうほどのミクロワールド。
 わたしは、生まれてこの方、倉敷を離れて暮らしたことがなく、もう何十年と、毎日ひたすら同じ道を幼稚園に通ったり、小学校に通ったり、蟲文庫に通ったりしてきたのですが、そんな、身の周りの小さな世界を知ることが出来たおかげで、かえって倉敷という世界が広がったような気がします。
 自分では、なかなか好い趣味だと思っているのです。