99%の
  リサイクルコレクションに挑戦!

繊維の町として知られる児島では、毎日膨大な量の素材が処理される。児島から出るこれらの素材を使って、世界に出せるコレクションを作る。しかもエコを考慮して、誰もが着られるようにユニセックスかつフリーサイズに。児島でユニークなコレクションを発表しつづけるサンフラワー・鹿野晃司氏とこの難題に挑んだ。

Gathering MaterialMeetingBagCutting & Sewing

01:素材集め

まずは素材集めからスタート。メイカーや縫製工場から出る残反や端切れの大半は処理業者に引き取ってもらうのが現状らしい。だめでもともと、明石被服興業とタケヤリ帆布協同組合に廃棄用の生地の提供を依頼してみる。趣旨を説明すると快く承諾してもらえた。ジャージ生地の端切れと2種類の帆布、そして鹿野氏が確保していた数種類のデニムを加えて素材集めは終了。意外なほどスムーズだった。さすがは繊維の町・児島だ。

02::打ち合わせ

集めた素材を持ち込んで鹿野氏と打ち合わせ。今回はエコの視点から、カット残を減らし誰でも着られるユニバーサルサイズがテーマ。だが、ワンサイズで様々な体型にフィットさせるのは難しい。流行りのデザインにも落とし込めないので、デザインの方向性は着物や作務衣など「和」の機能をもったものに決定した。とはいうものの、この段階では出来上がりがまったくイメージできない。

03;バッグ

目の前にバッグがあった。打ち合わせから2週間後の出来事。「なぜにこんなものが…?」。それは鹿野氏のモノ作りのスタイルだった。彼は軍モノの素材を扱ってのリメイクを得意としており、とくにバッグからインスピレーションを受けて服を作ることが多いのだ。今回、彼はデニムと帆布を素材に9個のバッグを作っていた。ステンシルで数字や文字を入れ、しかもそれぞれに異なる加工を施している。このバッグをベースに、どんなものができる?

04:裁断・縫製

デザイン、パターンも決まりいよいよ裁断。この形状のバッグは解体すると一枚布になり、部取りがしやすいと鹿野氏は言う。留め金や細部のディテールを生かし、あらかじめ作っていたパターンをはめこんでハサミを入れていく。もちろん、カット残はなるべく抑えて。完成間近だ。縫製も順調、サンフラワーのスタッフも手伝ってくれて、みるみるカタチになってきた。

モチーフは昔の日本人が野良仕事をするときに着ていた「野良着」。腕周りにゆとりを持たせたトップスは、羽織りやすいノースリーブジャケット。身幅を調節するためのベルトの代わりに、バッグに使用していたロープ紐が付いている。このロープは前や後ろで結ぶなどアレンジは自在、取り外しも可能だ。パンツのウエスト部分にはバッグの留め金をそのまま利用して、ロープでウエストを調整する。素材はデニムと帆布の上下セット、2パターン。デザインはまったく同じだが、白を基調とした帆布では、さわやかさを残しながら、いろんなカタチのボタンを胸にあしらうなどデコラティブな要素も加えている。リサイクルとユニバーサルデザインを見事にこなした鹿野氏のセンス、脱帽です!

0,
KOJIMA Eco Collection 2007 Moreover, this is what we made out of the leftover scrap fabric

どうしても裁断にはカット残をともなう。その量はごくごくわずか。
でも、そこは児島エコ・コレクション、見逃したまま終わるわけにはいかない。
ここからさらに99%のリサイクルに挑戦ー。
制作を依頼したのはフリーランスの縫い子として活躍している藤田仁志氏。
児島が誇るクリエイターの底力をとくとご覧あれ。

hat
_Hitoshi Fujita

藤田氏が展開したのは、キャスケットとつばの長さが異なる2種類のチューリップハット。いずれも表にはカット残、裏地には明石被服から提供されたジャージ生地の端切れを使用している。ジャージ生地は吸水性に優れ、汚れにくい。ファンデーションが付いても心配ないようにとの心遣いだ。

この企画を通じてエコと向き合い始めて3カ月。それまでは、エコよりも「便利なこと」や「見た目の良さ」を優先してきた私にとって、リサイクルのモノづくりの現場に立ち会い、直接エコに触れ、感じたことは、いま一度エコを見つめ直す良いきっかけになった。数や効率を求めることなく、限られた素材の中で思いをカタチにしていくクリエイター。新しさよりも今あるものを大切にしていきたいというモノづくりへの思いには、エコと繋がるヒントが隠されていた。残反や端切れがみるみる生まれ変わっていく。その様子にワクワクしながらエコの可能性を感じた。出来上がった服に袖を通したとき、豊かな気持ちでいっぱいになった。そして今、私はエコの存在をぐっと身近に感じている(高田歩美/KJエディター塾)