倉敷のCO2排出量

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倉敷市地球温暖化防止対策 重点施策

 2008〜2012年度の年平均が、90年度と比較して6.0%減。これは京都議定書のなかで日本に義務づけられた温室効果ガスの削減数値だ。どうひいき目に見ても達成は絶望的である。2005年の実績で、90年度比がマイナスどころか8.1%も増えているのだから。倉敷市が籍を置く岡山県。環境先進県を目指しているとは思えないぐらい、こちらも現状は最悪だ。ここ数年は右肩上がりが続き、2003年度の二酸化炭素の総排出量は5359万3000トン。90年度と比較して7.2%増えている。県は90年度比6.5%減を目標としており、こちらも目標達成は到底無理といわざるをえない。岡山県は総排出量の全国平均をはるかに上回っているだけに、事態はなお深刻だ。
  岡山県の二酸化炭素の排出傾向を見ると、産業部門が圧倒的に多く、約8割を占める。全国平均と比べるとその差は歴然(グラフ参照)。同じく産業部門が大きな割合を占める隣の広島県と比較しても約20%も多い。その原因は明らかだ。倉敷市にある水島コンビナートである。一説によると、岡山県全体の産業部門から排出される二酸化炭素の約8割は水島コンビナートから出ているともいわれている。しかも、ここ数年のアジアの急激な需要増もあって、水島コンビナートはフル稼働の状態が続いている。水島コンビナートを抱える倉敷市に問い合わせたところ、倉敷市全域での温室効果ガスおよび二酸化炭素の排出量は把握していないとのことだった。もしもそのデータをほかの市町村と比較することができたら、倉敷市は間違いなく国内トップレベルの温室効果ガス排出都市となるだろう。

 今年、倉敷市では2000年に策定した環境基本計画を7年ぶりに改定した。このたびの改定では、重点を地球温暖化防止対策にシフトしたとして地元の新聞でも報道された。しかし、改訂版を実際に見てみたが、改定されたのは計画のごく一部にすぎなかった。新たに地球温暖化防止対策として掲げた目標は上の表の通り。
 倉敷市の特色としては、「水島コンビナートにおける未利用エネルギーの活用促進」がある。これは倉敷市が策定した「地域新エネルギービジョン」において、導入が期待されている新エネルギーのひとつとしても紹介されている。水島コンビナートで排出している産業廃熱をエネルギーとして再利用するシステムだ。これにより年間80万トンの二酸化炭素の削減が見込めると市は算定している。
 地球温暖化防止に力を入れるというのであれば、しかし、倉敷市の水島コンビナートに対しての対策はまだまだといわざるをえない。コンビナートを構成する各企業はもちろん、企業を誘致した岡山県も巻き込んで、第二、第三の手を講じていく。そんなリーダーシップと積極的な姿勢を倉敷市には求めたい。「温室効果ガス排出都市」なんて呼ばれないためにも。

倉敷のCO2排出量

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 最近、よく耳にする言葉だ。東京や大阪などの都市部で気温が高くなる現象のことをいう。生態系への影響や、夏場には熱中症が増えるなど、人体への影響も懸念される材料になっている。もっともこの現象自体は、1世紀以上も前のロンドンで最初に報告されている。
 東京だのロンドンだの、倉敷には縁がないように思えるが、実は隣の岡山市(約70万人)でもヒートアイランド現象が報告されている。岡山理科大学・生物地球システム学科講師の大橋唯太さんは、大学の生徒と共同で岡山市でのヒートアイランド現象を調査し続けている。「地球温暖化の影響により、過去100年で地球の気温は0.6℃上がったと報告されていますが、東京など都市部ではその5、6倍の上昇が報告されています。しかし、ヒートアイランド現象が起こるのは大都市とは限らないんです」
 大橋さんと同大学院生の重田祥範さんの調べで、岡山市にヒートアイランド現象が起こっていることが明らかになった(図参照)。夏の夜間に見られるのがJR岡山駅から少し離れた大元駅周辺。郊外よりも3〜4℃気温が高い。冬の夜間は予測通りJR岡山駅周辺。夏よりも郊外との気温差が大きく、5℃以上ある。これは人間の活動が活発な地域で発生するというヒートアイランド現象の特徴と合致している。岡山市で見られるのであれば、人口47万人の倉敷市ではどうか。「可能性は十分に考えられます」と大橋さんは言う。「岡山ほどではないですが、JR倉敷駅周辺には人口が集中しています。それに、ヒートアイランド現象は数万人単位の町でも起こります」
 倉敷市の水島・玉島・児島地区は、それぞれが約7万人の人口を抱えている。人口データから見ればヒートアイランド現象が起こる可能性はある。だが、沿岸地区は海からの涼しい風の影響を受けやすくヒートアイランド現象が起きにくいという。やはり考えられるのはJR倉敷駅周辺の区域だ。「観光客も多く、昼間の人口は密集しています。あとは、どれだけ大気に熱を出しているかです」。大橋さんらは、次に倉敷での調査を考えている。