Krash Cinema Blog

ライター。元・日本美女選別家協会会員。
1963年倉敷(水島)生まれ。
コチラでも映画の話を書いたりしてます。

10/18 「テレビこそ神不在の世界の最高権力。悲しいことに今は悪人の手にある」(映画『ネットワーク』より)

network2.jpg 赤星が亀田問題について意見してたので釣られちゃおう。まったく同感というか、国民の多くが同じことを感じているのに、少しも反省の色を見せないTBSは正気なのだろうか。
 新聞各紙(毎日も含めて)が社説やコラムで「メディアの責任=TBSの責任」を指摘しているし、ワイドショーのコメンテーターもこの話題になると必ず誰かが「メディアにも責任が」と発言する(テリー伊藤をはじめ複数のコメンテーターがTBSの番組内でもはっきりTBSを批判している)。亀田親子は「とりあえず」謝罪したという形をとり、実況を解説した鬼塚氏までブログに反省の言葉を書いたのに、未だにTBSは社として何のコメントも発しない。
 ホンネはどうであれ、タテマエをつくろう気すらなさそうなTBSの姿勢は理解に苦しむ。昨夜の『ニュース23』では街頭インタビューで「(亀田問題で)いちばん悪いのは誰だと思いますか?」という問いに「そりゃTBSさんでしょう」と間髪入れず答えた一般人の姿が放送されたが、その後に番組キャスターのコメントは何もなかった。「TBSはこうして批判も採り上げていますよ」というだけで問題をチャラにできると思っているのだろうか。
 ここ数日、そろそろ何かオフィシャルの声明があるかもしれないとTBSのホームページをチェックしているのだが、それらしきアクションは何もない。その代わり、「番組制作と放送のルール TBS放送基準」というページを見つけた。放送基準として「TBSは、電波が国民のものであるという原則にもとづき、基本的人権と世論を尊び、公正な立場を守り……」「芸術、スポ−ツおよび娯楽番組は、視聴者に健全な楽しみを提供して、生活内容を豊かにするとともに、それらの育成に努める」などという文言が並んでいるのを見ると、もはやギャグとしか思えない。ちなみに、そのページは視聴者に対してではなく投資家向けIR情報コンテンツの中にあったのだが、視聴者の意見は右から左に受け流す気でも、このまま問題を放っておくと株主も黙っていないんじゃないのか。

 しかし、である。仮にTBSが何らかの形で反省コメントを発表したとしても、それはおそらく「実況において亀田びいきととられるアナウンスをした」「亀田親子を過度にヒーローとして祭り上げる番組編成をしてしまった」という点に絞られてしまうだろう。私としてはそれが歯がゆくてたまらない。
 亀田うんぬん以前に、最近のスポーツ中継のあり方全体に私は腹が立っているのだ。だってそうでしょ。どうして「世界陸上」を織田裕二の感想とともに見なけりゃいけないのだ(別に織田裕二が嫌いではないが、スポーツ中継には必要ない)。事はTBSだけに限った問題ではなく、世界バレーにジャニーズは要らないし、世界柔道に藤原紀香や加藤晴彦は要らない。関係ないタレントの顔を映すヒマがあったら、選手の表情や会場の生の空気を映し出してほしいのだ(どうしてこんな当たり前の正論でムキにならなければいかんのよ。ああ、自分がバカになっていく……)。ほんの10年ほど前まで、スポーツ中継はこんなことにはなっていなかったはずだ。タレントによる盛り上げは「応援番組」として本編の中継とは別枠で設けられていた。それがいつの間にか中継そのものに介入して観戦を邪魔するようになった。いや、タレント起用の問題だけでなく、実況スタイルや構成など、放送の姿勢がどんどんスポーツ中継の本質を見失ってきていると思う。
「亀田問題の反省」よりも「スポーツ中継を過度にショーアップすることへの根本的な反省」を私は望むのだが、「亀田問題」ひとつ反省できないテレビ局にそれを望んでも到底無理なことは分かっている。視聴率至上主義にどっぷり浸かった民放地上波テレビは、少しでもチャンネルを変えさせないための姑息な演出に腐心することを使命と考え、内容など考える余地もないらしい。言わば、通りすがりの人の目を引くショーウィンドウやネオンサインのような存在である。テレビモニターで何かをじっくり見たい人はBSやDVDでも見ていてくれという姿勢なのだろう。テレビっ子として育った世代としては、まことに悲しい話である。

 というわけで、DVDでも見るか。画像は社会派映画監督シドニー・ルメットがテレビ界の腐敗を痛烈に描いた『ネットワーク』のチラシ。ノイローゼになったニュースキャスターがテレビで自殺を予告。やがて彼は「神の声を聞いた」と言い出し、視聴者に向けて説教を始める。局側は常軌を逸した彼の行動を止めず、逆に彼を視聴率のとれる道具としてカリスマ教祖に仕立てていくのだった……。30年前の話題作です。テレビに腹が立った時はこの映画を見るに限る。