ふと思ったことを書く、というのはエッセイやコラムの王道だが、さっき深夜のテレビを見ていて、ふと思った。
テレビでは『エミリー・ローズ』のCMが流れていた。悪魔に憑かれてしまった少女の実話だというオカルト映画である。ちなみに、70年代に『オードリー・ローズ』(昨年亡くなった巨匠ロバート・ワイズ作品)というオカルト映画があったが、それとはまったく関係ないらしい。
CMでは、ヒロインが床に倒れて硬直している姿がアップで映し出される。不自然なほどに体をのけぞらせ目を大きく見開いた、エミリー・ローズさんの姿である。
ギョッとさせようというインパクト映像なのだが、「でも、これって女優さんが監督に指示されて一生懸命こんなポーズをとってるんだよなぁ」と冷めた目で見れば、なんだか滑稽に見えなくもない。ちょうど今の時期、のけぞったエミリー・ローズの映像にテロップで「イナバウアー!」と書き込めば、安い笑いがとれるかもしれない。
「あのエミリーなんとかっていう映画のCMって、ちょっと笑っちゃいますよね」って言う奴がいるんだろうな……と、思った。そう思うと無性にイライラしてきたのだった。
もう、そんなコメントにはウンザリなのである。
20年、30年前なら、オカルト映画の中に滑稽さを見出すとか、お笑いの中に恐怖を見出すだとかいったことが面白かったかもしれない。そういう、ちょっと外した視点でものを見るセンスを持った人が、面白コラムニストや面白エッセイストになれたのかもしれない。
今じゃもう、その程度の「ヒネッたこと」はジャニーズのアイドルでも言う。
顔だけで食えるアイドルでも言ってるようなことを、平凡な顔の方々から十人並みの「したり顔」して言われると、本当にウンザリなのである。
怖がらせようとして作ったものなら怖いものとして、その怖さがいかほどのものか。笑わせようとして作ったものなら可笑しいものとして、その可笑しさがいかほどのものか。そういうストレートな視点だけで十分だよ、私は。
焼肉を食いにいったら、焼肉として美味いかどうかを味わいたいと思う。「この焼肉、寿司だと思って食うと面白いですよ」って……もう結構です、そんな「面白い」話は。
赤星編集長からKrash Japanのスローガンを考えてくれと言われて、“倉敷から世界に発信するネクスト・ライフ・マガジン”というのを提案した。ネクストというのは、次に何が流行りますとかいうことじゃない。もう、自分が超えちゃったはずのことに足を引っ張られるのはやめようぜ、という思いだ。人それぞれの、ネクストがあると思う。
……てなことを、ふと思った次第ですが、いかがでしょうか、赤星編集長。