Krash Cinema Blog

ライター。元・日本美女選別家協会会員。
1963年倉敷(水島)生まれ。
コチラでも映画の話を書いたりしてます。

1/22  バート・マンローという人

 四十過ぎて、この先どう生きていくべきか。今、日本のオヤジたちに提案されている「素敵なライフスタイル」は二つある。「ちょいワル」か「スローライフ」かである。
「ちょいワル」の方は考えるまでもなく私には無理だ。いい服着て、美味い物食って、いい女と享楽的に過ごそうってのは、四十までに人を出し抜いて金とコネとノウハウを蓄積しておかないと無理なんである。
 かと言って、「スローライフ」の方もなあ。いつか倉敷に戻りたいと考えてる私だが、畑仕事して有機野菜作ったりする自分の姿は想像できない。やはりこれも四十までに健康に気を使って畑仕事する体力をキープしておかないと無理なのである。

 何かもっと違う生き方はないのか……と思っていたところへ、刺激を受ける映画を見た。『世界最速のインディアン』である。いや、足の速いネイティブ・アメリカンの話じゃない。60年代に戦前の骨董品バイク“インディアン”をコツコツと一人でチューンアップして、オートバイの世界最速記録を樹立したバート・マンローというニュージーランド人の話である。記録を打ち立てた時、すでに63歳のジジイだった。
 バイク乗りと言えば「ちょいワル」の典型みたいだが、バート・マンローはちょっと違う。住んでる場所はニュージーランドの片田舎だし、カネもなく、バイクのパーツはジャンク品の手作り改造だ。掘っ立て小屋に住んで粗末な食事してる姿は「スローライフ」みたいだけど、若者相手にバイクのスピード勝負したりする血の気はある。一人黙々とガレージでバイクいじりしてるのが好きなくせに、人に会えばよく喋る。世界最速記録に執念を燃やす頑固オヤジのくせして、朗らかで人当たりは良い。老いてなお盛んな女好きでもあるが、相手はゴージャスなアデージョなんかじゃなくて、近所の淋しいオバチャンである。
「ちょいワル」なのかと思えば穏やかな好々爺だし、「スローライフ」なのかと思えばスピード狂だという、ワケが分からないライフスタイルがここにある。マンローを演じているのは殺人鬼レクター博士役でおなじみのアンソニー・ホプキンス。これまでブルジョワやインテリ役ばかりやってきたホプキンスがブルーカラーの男を演じる違和感も、またワケが分からなくて面白い。
 この映画から学んだのは、好きなことを好きなようにやり、でも偉そうにはしないで人当たりよくしてれば幸せになれるということ。そして、夢や目標はもっともらしいものより、他人から見ればデタラメに見えるものの方が素敵だということだ。
 そう考えていたら、倉敷でヘンな雑誌を作っている誰かさんのことが頭に浮かんだ。勝手ながら、『世界最速のインディアン』を「Krash Japan 推薦映画」ということにさせてもらおう。

 赤星編集長はエコに目覚めたそうである。今さらかよ! ではあるが、私も地球温暖化はいよいよ本気でヤバイらしいぞと感じていたところだ。昨年あたりからかなり深刻な報道が増えているものな。時代の先端を行く気がまったくない私や赤星が感じてるくらいだから、かなりヤバイぞ。まあ、赤星くんのことだからヒステリックなエコ運動ではなく、やれる範囲でやってみるかという態度なんだろうから、支持しますよ。いいじゃないですか、ちょいエコオヤジ。「美しい国」ったって美しい地球があればこその話。日本を「戦争もできる普通の国にしよう」ってバカな話に協力するくらいなら、迷わずエコに協力する。

 ここを更新するより先に本誌の原稿を書けと言われそうだが、やっぱ書きたいときに書きたいことを書くのがバート・マンロー的生き方ですからね。
 ところで、私は「ホラー映画嫌い」じゃないよ。「Jホラー嫌い」です。洋画のホラーに関してはダリオ・アルジェント、ジョン・カーペンター、ジョージ・ロメロ、サム・ライミ……等々を80年代に熱中して見てましたよ。そういうのを見て「子供の頃は『妖怪大戦争』も怖くて見れなかったのになあ、大人になれば平気になるもんだなあ」と思っていたところへ、『リング』を見て夜中にトイレへ行くのが怖くなり、「ダメだ、やっぱり日本の幽霊は耐えられんわ」と思い知らされたのでした。映画見てる間に怖い思いするのは娯楽だからいいんだけど、日常生活にまで後を引くのがかなわない。