新・不定点観測

赤星豊

vol.468 閉店つづき

 児島のステーキ店「レッドウッド」が6月で閉店することになった。30年近く営業を続けてきたそうだ。なにせものがステーキなので、頻繁に行ってたわけじゃないけど、たまに行ってた。KJのvol.10では店主の森山さんにも登場いただいた。いい店だっただけに残念。
 この春には下の町のうどん店「あやがわ」も閉店した。「レストランみその」も閉店した。こうしてたまに行っていた店が閉まると、ちょっともの悲しい気持ちになる。親友じゃないけど、たまにご飯を食べたりする友人が海外に移住してしまうような、そんな類いの悲しさ。それと、もちろん舌に親しんだ料理が食べられないという寂しさも。


 これは地方に限ったことじゃない。東京でも閉店の寂しさを経験した。いちばん思い出深いのは、中目黒の商店街にあったカレー店「オレンジツリー」。あそこのカレーはぼくの人生で最高の逸品だった。注文してから料理が出て来るまでに1時間半以上もかかるシステムにも驚いたが、あのカレーの味は生涯忘れられない。あの店が突然閉まっていたときには、絶望にも似た悲しさを感じた。もう一軒は中目黒の山手通り沿いにあった定食屋(名前が出てこない……)。テーブルの上にあるマリモを入れた鉢がなんとも不潔そうで、一緒に行くのを嫌がる友人もいたけど、あそこのマグロ定食は安くて実にうまかった。近所の美容院のウラくんとよく一緒に行ったっけ。こうした名店がなくなったことを思うと、いまも少なからず寂しさがよみがえる。


 捨てる神あれば拾う神あり。児島にもついに「ブックオフ」ができた(冒頭の例えが違いますか?)。ここの「ブックオフ」は中目黒にあったそれとはちょっと違う。本やCDのほかに、古着や電家製品、おまけにギターまで置いてある。「ブックオフ」でギターなんてと思うかもしれないけど、なんとそこにマーチンのアコギが売ってたりするのである。4800円のギターの横に、普通に28万円が。この無造作な感じは嫌いじゃない。むしろウェルカムである。
 この日曜日にCDを2枚買った。「フーファイターズ」、950円。もう一枚は、山下達郎のよくわからないアルバム。たまたま店内で山下達郎がかかっていて衝動買いした。これ以上ないほどの衝動買いではあったが、事務所でかけていてもこれが不思議とそりが合う。さすがにヒトミちゃんには不評かと思いきや、「わりといいですね」。というわけで、ここ3日間、アジアンビ―ハイブに来たお客さんたちは、「ブックオフ」のせいで、打ち合わせのBGMとして山下達郎の『高気圧ガール』なぞを聴かされているのであった。