新・不定点観測

赤星豊

vol.466 夢の一週間

 新幹線が東京に近づくと、「帰って来たなあ」という感慨がわいてくる。東京の滞在を終えて新幹線で岡山に向かい、岡山駅に降りると、これまた「帰って来たなあ」としみじみ思う。ぼくにとっては、東京も倉敷も同じようにホームだ。でも、東京はぼくにとってはもうリアルじゃなくなった。今日、車で岡山に行く途中、道ばたに、雨に濡れて青々と茂っている雑草を見た。ぼくにとってはあれがリアルだ。事務所の倉庫のテーブルでヒトミちゃんと挽きたての豆でコーヒーをいれ飲んだ。あれがリアルだ。夕方、夕飯の用意で家に帰ったら、居間でオカンがオトンに鎮痛剤を入れてもらっていた。あれがリアルだ。昨日までの東京での一週間は、まるで夢のように感じる。


exhibition.jpg 目黒のCLASKAでの展示は大成功だった。展示には大勢の人がやって来てくれた。東京での友人たち、KJのファンから、KJをこれまで見たこともないという人まで。金曜日のパーティには、200人ぐらいが来てくれたと思う。あまりに人が多くて、数年ぶりに会う人たちともほとんど話ができなかったぐらいだ。


 3月にKJの10号を発行して以降、大きな達成感を感じることもなく、深い感慨もなく、気持ちは妙なぐらいに淡々としていた。でも今回、全10号と掲載した作品をひとつの空間に展示することで、この5年間を俯瞰することができた。そして、いかにKJが多くの人とつながっていたか、またいかに多くの人とのつながりをもたらしてくれたかを実感した。いまあるのは、すべての人たちへの感謝の気持ちだ。(写真撮影/マチェイ・クチャ)