広島県三原市に面白いアーティストがいる。彼の名前はシマムラヒロシ。美術系の学校を卒業後、バルセロナに渡り、以降13年間バルセロナで活動していたというトッぽいキャリアをもつ。
そんな彼と児島のギャラリー「くるり」で知り合った。とにかく作品がすごくいい。キャンバスに背景を描き込み、その上に糸のこで切ったキャラクターを貼り重ねる。平面といえば平面なんだけど、不思議な奥行きをもつ。半立体ともいうべき作品だ。
写真以外だと久々だ。ひと目見て欲しいと思った。これが一点、事務所にあったら、毎日幸せな気持ちで仕事に励めそうな気がする。でも、値段を聞いてあきらめた。いまの悲惨な懐事情でとても買える値段じゃなかった。ところがだ。深夜のアジアンビ―ハイブ、いまぼくの目の前に、その彼の作品がある。
本日水曜日、シマムラ氏、2度目の来社。コーヒーを飲みながら、世間話に花を咲かせていたとき、彼が事務所の壁を見て、「この壁、いいですよね」と言った。そこには事務所創設以来、猪熊弦一郎デザインのテキスタイル(1.2×1.2m)がかけてあった。
「この広さはなかなかないですよね」
そのタイミングをぼくは見逃さなかった。
「ここにあれを飾ったら映えるだろうね」
「あれ」とはつまり、シマムラ氏の作品。
「ああ、いいでしょうね」
「ここ、いろんな人が来るよ、結構目に触れるよ」
「ああ、そうでしょうね」
「飾って、みる?」
素直に飾りたい、欲しい、と言わないところがニクいの、オレ。
「いいですよ」
即答だった。
1時間後、ギャラリーの撤収を終えたシマムラ氏が再度事務所に寄ってくれた。彼の作品をもって。
「どれがいいですか?」
車には1×1mの作品が3点。バンビ、子ぶた、そしてカバ。
「いや、シマムラさんが選んで下さいよ」
こうして飾られたのが、この赤いカバである。背景はなぜか工業地帯。メルヘンとシュールが融合する不思議なテイストの作品だ。
うちの事務所がどんどんギャラリー化してくる。写真は森山大道、池田理寛、安村崇、ペインティングは廣中薫、これらKJの遺産であり財産ともいうべき作品に加えて、新しくシマムラヒロシ。
ちなみに彼とは8月に開催される岡山・奉還町のアートフェスに一緒に参加する予定。シマムラヒロシの生作品を見たい方、要チェックです。うちに見に来てもらっても、もちろん結構!