<心臓の機能が低下する拡張型心筋症で治療を受けている小比賀姫那ちゃん(1)の両親らが24日、岡山市内で記者会見し、米国で心臓移植手術を受けるのに必要な1億5000万円の募金を呼び掛けたーーー主治医によると、現時点で心臓移植以外に治療方法はない。米カリフォルニア州のロマリンダ大学小児病院が受け入れを決定。1億5000万円が集まれば、渡米してドナーを待つ方針。母美幸さん(23)は「1%でも可能性あるなら、それに賭けたい。姫那を助けてください」と話した>
台所で夕飯を作っていると、上記のニュースが聞こえてきた。しばし手を休め、テレビに見入る。お母さんの美幸さんが画面に映っていた。悲しさにずっと耐えて来たような、そんな類いの疲れた顔をしていた。ちなみにこのご夫婦と姫那ちゃんは倉敷在住だという。
午後6時半、会社に戻ると、ヒトミちゃんが帰り支度をしていた。
「ヒトミちゃん、ちょっと話がある」
「な、なんですか?」かなり不安げな顔で。
「今度のロゴのコンペ、賞金を寄付しようと思う」
先週末の山陽新聞朝刊で見つけた岡山県国際交流協会の20周年記念ロゴの一般公募。賞金は5万円。さしあたってヒトミちゃんのデザインの仕事がなかったので、早速、これを我が社の次のプロジェクトにと決めたところだった。
「賞金をもらってから寄付するってことですか?」
「いや、賞金をもらう前に寄付することにした」
「…………?」
「前払いみたいなもんだよ。要は採用されればいいんだ」
早速、「きなちゃんを救う会(086-428-3330)に電話を入れて振り込み口座を聞き、速攻、気が変わらないうちに5万円をネットバンキングで振り込んだ。
「振り込んだぞ! ヒトミちゃん、頼んだぞ!」
「ええええっ!」
我がアジアンビ―ハイブにとっての5万円は、ユニクロにとっての500億円に等しい。まあ、かなりの痛手であることは間違いない。でも、5万円を寄付したからといって、数週間前のように口座残金が1万円を切るような状況ではない。たとえ1万円を切ったとしても、つまるところ、ぼくもヒトミちゃんも死ぬわけじゃない。
「ねえ、なんのために会社なんかやってると思う?」
「…………」
「会社をやるってのは、社会に貢献するためなんだよ」
我が社の節約番長のヒトミちゃんは不思議そうな顔でぼくを見て、
「今日の赤星さん、変です」
そう言い残して帰って行った。
そうかな、変かな? ついでに言っておくと、もしも賞金をいただけたら(もちろんいただくつもりではいる)、その5万円も寄付しようと密かに思っている。