初の給料を払った。もらうヒトミちゃんも初めてなら、支払うぼくも初めてという初めてづくし。支払い日の朝、イジリー岡田のいるナンバに給与明細書なるものを買いにいった。税込みで231円。居酒屋の伝票みたいな細長いカタチをしていた。表紙の裏にある記入例を参考に、税理士の島津さんから教えてもらった額を明細書に書き込んでいく。2分でできた。
「ヒトミちゃん、これあげる」
「なんですか?」
「給与明細だ! ほら!」
初めてづくしだからぼくのテンションは若干高め。額も額だし
「はあ」
一方、初めてもらうはずのヒトミちゃんはほぼ無反応。そこに置いておいてくださいと言わんばかりのクールな態度で。
「あのさ、お金は昨日振り込んでおいたから」
「どうもありがとうございます」
「い、いえ、どういたしまして」
早々にぼくは自分のデスクに戻った。
この約1カ月で相当な浪費をした。まずはぼくのimac。ひとつ前のモデルとはいえ10万円ぐらいした。次にカラーガイドのDIC。2万円以上もした。グラフィックやタイポの本は6冊で総額2万円オーバー。痛かったのがアドビのイラストレーターとフォトショップ。両方でパソコン代をはるかに超えた。さらにオフィスに蛍光灯を3カ所取り付け、約8万円。昨秋の世界一周のギャラがみるみる目減りしていくのを目にしているわりに、いま必要でもない文房具なんかわりとちょこちょこ買ったりして、どうも金銭感覚が麻痺しているかもしれない。このままだと、ヒトミちゃんの来月の給料は危険だ。来月はなんとか払えても、3月はマジでヤバい。事務所のパソコンとか自転車とか、早くも現物支給が実現するかもしれない。
「ヒトミちゃん」
「はい?」
「今日から節約番長だ、いいね」
「はい」
給料日に任命した。我が社の節約担当。明日は節約番長のヒトミちゃんに、インクジェットのプリンターの購入を相談するつもりだ。さて彼女、どんな反応をするか。