新・不定点観測

赤星豊

vol.429 口唇ヘルペス

 9割ぐらいの確率で風邪をひいたと思った。この日曜日のこと。外は小春日和で、先週とはうってかわっての暖かさ。なのに、事務所でひとり机に向かうぼくは寒くて震えていた。エアコンの暖房に加えて石油ストーブまで炊いているのにちっとも部屋が暖かく感じられない。あまりの寒さにときどき手を休め、ストーブの上に手をかざす。ちょっと温まったと思ったら机に向かい、また手がかじかむような寒さにストーブに手をかざして、ということを何度も繰り返していた。これが風邪じゃなくってなんだろう? でも、風邪じゃないことがあるのだ、ぼくの場合は。


 夕方、あまりの寒さに風呂に入りに家に帰った。カラダを芯まで温めての第2ラウンド開始。事務所に到着してすぐ冷えた部屋に暖房を入れようとリモコンを手にとった。ふと目にとまった液晶の表示に目を疑った。「暖房」のところにあるはずの印が、なんと「冷房」のところにあった。なんだ、あれか? オレは昼間、ずっと冷房を入れて仕事をしてたってわけか? いくらなんでもそんなのあるわけない、と自信をもって言えないのがこのぼくだ。というか、実際、冷房をかけてた。その証拠に、暖房に切り替えてスイッチを入れると、10分もしない間に部屋はいつもの快適な温度をもたらしてくれたのだった。あ、痛っ。


 この時期、命にかえても風邪をひけない。実は1週間ほど前、ちょっとヤバかった。ヒトミちゃんの風邪がついにうつったかと思った。なんとなく、寒いしダルい。夕方、カコナールとユンケルを同時飲みした。食後さらに2本目のカコナールを飲み、「これでオレは大丈夫」と何度も言い聞かせ、早めにベッドに入った。おかげで翌日には完全復活を遂げたが、その置き土産というか、すぐに唇に水ぶくれができた。薬の力で病を押さえ込もうとするとたいがいできる。口唇ヘルペスとかいうやつ。性病じゃないよ、なんか体質でできる人とできない人がいるらしい。もちろんぼくはできる人なわけだ。もうずいぶんよくなったが、いまも下唇に薄いかさぶたが残っていやがる。


 絶対に風邪がひけない状況は、あと2カ月つづく。