新・不定点観測

赤星豊

vol.422 初出勤

 写真をご覧のように、昨年末、事務所の引き戸のアクリル部分に弊社アジアンビーハイブの営業時間をカットシートで張り出した。9:00から18:00まで。朝にめっぽう弱いぼくにとっては、まさに自分で自分の首を閉めながらひとり卍固めをきめるような暴挙である。しかも、夜の作業や打ち合わせは当たり前なので、朝が早いとそれだけ労働時間は長くなる。でも、今年のぼくはそれだけやる気なのだった。


 朝7時40分起床。今年初の出勤とあって、若干の緊張感とともに目を覚ました。いつもより20分は早い。トーストの朝食を終え洗い物をしながら、ふと、初出勤だから朝礼なんかやってみようかなと考えていた。
「ヒトミちゃん、いままではアルバイトなりの扱いをしていたけど、これからキミはうちの社員だ。厳しくいくよ、オレは」
「はい」
「これまで怒ったことないけど、たまに怒るかもしれない」
「はい」
「遅刻は厳禁だ」
「はい」
「それなりの残業も覚悟しておいてほしい、いいね?」
「はい」
 と、シミュレーションの最中に携帯電話が。ヒトミちゃんのお母さんからだった。なにやら、ヒトミちゃんが昨日から熱を出して寝込んでいるらしい。
「あ、いいですよ。はい、はい、ちゃんと休むように言ってください。全然気にしないでいいですから。はい、はい、それじゃあどうも!」
 始業時間の10分前には事務所に到着しているはずが、逆に10分遅れの出勤。初日からいきなり遅刻だ。緊張感もなにもあったもんじゃない。
「まいどー!」
 ストーブをつけていたら、フジタくんがやってきた。ペイネにやってきたら正月休みで閉まっていたらしい。
「じゃあ、うちでコーヒーでも飲んでいくか?」
 ふたりで10時過ぎまで、フジタくんが昨晩に見た「アバター」の話とか、そんなどうでもいいことをコーヒーを飲みながらだらだら話した。


 緊張感のかけらもない本年初のアジアンビーハイブ。今年は大丈夫なはずなんだけど。