いろんなことに、「ちゃんとしなきゃ」と感じる今日このごろ。本日朝9時、この1カ月は週一で通っている歯科医院に。受付の女性に診察券を渡し、待合スペースで『オレンジページ』の豆腐を使ったおかず特集を読んでいると、さきほどの女性が。
「赤星さん、あのお……」
「なにか?」
「予約は今日じゃなくって、明日なんですけど」
診察券を受け取って予約日を確認する。書いてあった、12月10日(木)。たしかにおっしゃるとおり。
「待っていただければ、なんとか都合はつけられなくもないんですが」
「いえ、明日出直します!」
昨晩、藤田クンのストーブを燃やしてしまった。「ストーブを燃やす」というのがおかしな表現なのは重々承知。しかし、それでもストーブを燃やしてしまった、のだ。
先日、オークションで落としたアラジンのストーブの調子がいまひとつだった。そこで、「お困りのときはなんでも相談」のフジタくんに言ったら、「様子を見たいので引き取る」とのことで、代わりのアラジンを2台もってきてくれた。彼が帰った後、その2台のアラジンをキレイに掃除し、火をつけてみた。一方のアラジンは美しいブルーフレームが出た。問題はもう一方だ。オレンジの炎がメラメラ出るだけで、ちっとも青いのが出ない。あきらめて火を消そうとダイヤルを反対に回しきった。そのとき、予想だにしないことが起こった。小さくなって消えるはずの火が、怒り狂ったように火柱を上げたのである。普通、アラジンの火の高さは30センチほどの筒のなかでせいぜい3~4センチ。ところがそのときの炎ときたら、筒の天井を突き破らんばかりなのである。少々危険を感じたぼくは、ボーボーと音を立てているアラジンを倉庫の外に持ち出し、しばらく様子を見た。火は収まるどころか、筒の外からもちらちら炎を吹き出し始めた。フジタくんに救援要請だ。
「フジタくん、アラジンが目の前で燃えてるのよ」
「えええっ? どういうことッスか?」
「あのね、フジタくんから貸してもらったアラジンが、火柱立てて、ゴーッとか音をたてて燃えてるの、目の前で」
「消化装置やってみました?」
「やったけど、さっぱりダメ」
フジタくんがすぐにやって来ることになった。その間、事務所で仕事をしているヒトミちゃんに「ストーブが燃えてるの、見てみる?」と言って表に誘い、ふたりでいっこうに消えそうにないストーブを眺めていた。その頃にはアラジンは炎に包まれ、完全な火だるま状態。ホーローの白い筒の外側まで煤で真っ黒こげになっていた。
「これ、キャンプファイヤみたいだね」
そうこうしているうちにフジタくん登場。車から降りるなり、ビニール袋から取り出した水をふくませた大きな布で火だるまのアラジンを包んだ。
「なんでこうなったんやろうなあ?」
「いや、オレはなんにもしてないよ。火をつけたらこうなった」
ぼくはあくまで過失ゼロを主張。フジタくんのアラジンは見るも無残な姿で同情はするが。しばらくして火は完全に沈火。「帰って原因を究明してみます」と、フジタくんは残骸を持ち帰った。ぼくは倉庫に戻って、もうひとつのアラジンの火を確認しようとした。そのとき、アラジンの隣に金色の筒が目に入った。なんだ、これ?───と思ったのは一瞬で、次の瞬間、頭のなかでさっきのアラジンなみの火柱が立った。その金色の筒は、火だるまアラジンの、炎の大きさを調節する肝心要の装置だったのだ。ぼくは掃除するためにそれを外し、戻すのを忘れて火をつけてしまったのだった。
まだ車で帰途にあるフジタくんに電話した。
「原因がわかった!」
「早っ! なんだったんですか?」
「100パーセント、オレの過失だ!」
その後、戻ってきたフジタくんに平謝り。「いいですよ、洗ったらまた使えますから」と言ってくれたが、人のストーブを火だるまの後に炭の塊にしていて、しかも「キャンプファイヤみたいだ」なんて言っていた自分がほとほと情けなくなった。
最近のぼくは、というかこれまでずっとだったかもしれないが、人として明らかに合格点に届いていない。まさに人間失格。自信失墜の日々はしばらく続きそう……。