新・不定点観測

赤星豊

vol.407 瀬戸内ツアー

 それは仕事かと問われれば、答えに窮する。仕事といえば仕事のような気もするし、遊びといわれれば完全に遊びのようにも思える───。先週末からスタートした菅大祐の「瀬戸内ツアー2009」。土・日・月の三連休、オーガナイザーとしてしっかり帯同してきた。
 菅クンとは今年のGWに京都で知り合った。ミヤちゃんと見に行った京都現世美術館。建仁寺で毎年開かれるこの現代アートの展覧会で、菅クンがワークショップとして音楽と映像のライブをやったのだ。その映像を担当していたのが、その直後に一緒にマカオに撮影に行った京都のカメラマン、なっちゃんこと石川奈都子さん。今回の瀬戸内ツアーも、なっちゃんの映像と菅クンのアコースティックギターという取りあわせ。さらに児島と松永のライブでは、岡山在住のパーカッショニストの次田任徳さんも参加してくれた。


 ライブの日程は下記の通り。11月21日(土)児島・アラパープ。11月22日(日)松永・Caro。11月23日(月)瀬戸田町・汐待亭。11月24日(火)新居浜・café ronet。ぼくの帯同は23日まで。瀬戸田町のライブをもってぼくのお役目は御免というわけだ。
 ぼくのお役目はというと、地方で会場と交渉し、日程を決め、さらにPR用にフライヤーを作って配布する。ツアーに突入したら経理担当だ。会場にやってきたお客さんから1500円の入場料を徴収し、彼らの滞在に付随しての食事代や宿泊代を支払う。結構、やることが多いし、リスクだってある。入場料ですべての経費をまかなえるのか、という問題だ。もしもまかなえなかったら、ぼくがマイナス分をかぶる。誰に言われたわけでもないのに、勝手にそのつもりでいる。して、「なぜにオレが?」という思いがよぎらないでもない。そもそも「なぜにオレが?」


「赤星さん、なぜぼくが?といまも思ってるでしょ?」
 児島に到着するなり、菅クンに言われた。なぜにぼくが菅くんの、一度しか会ったことのないオトコのライブを世話しているのかと疑問に思ってるでしょう、と。
「な、なんてことを。そんなの全然思ってないって」
 菅クンが到着する直前まで、実はヒトミちゃんを相手にボヤいていた。なんでオレよ、みたいに。さすがはアコギ1本でライブをやろうというミュージシャンだ。勘が鋭い。


 しかし、そんな疑問もライブをこなしていくうちに薄れていった。菅クン、すごくいいヤツなのだ。1回しか会ってないから完全に忘れていたけど、彼がすごくいいヤツだから、ぼくもサポートを申し出たのだ。完全に思い出したわけじゃないけど、そうなんだと思う、ぼくの性格からすると。次田さんも面白い人だった。なっちゃんは前から大好きな人だし。だから彼らとライブで瀬戸内を回るのはすごく楽しかった。昔、テレビでやってた『パートリッジ・ファミリー』や、映画の『コミットメンツ』みたいな感じ。ミュージシャンでもないのにそんな経験ができたのは嬉しかった。ツアーを終えて彼らに抱いているのは、感謝の気持ちしかない。みんな、ありがとう! ホント楽しかった! 会計は予想通り赤字だったけど、気にしなくていいよ。本当にいいって、気にしなくて……。


 今回、すべての会場で、現地の人たちには大変お世話になりました。アラパープのカタオカくん、松永のキッタカさん、心石工芸のみなさん、福山のキタガワねえさん、尾道の加藤和尚、平山郁夫美術館の平山館長、それから瀬戸田町の島民のみなさん、本当にありがとうございました。また、いつかお会いしましょう。