あまりに天気がいいと、海を眺めながらお昼を食べたくなる。先週は土曜日がそうだった。フジタくんとトーマスを誘ってペイネにパンを買いに行き、すぐ近くの児島観光港に持っていった。堤防の上で食べるのだ。ぼくは粒あんとバターをはさんだカスクート。フジタくんはなにを買ったか忘れた。トーマスはバゲットだけだ。「やっぱり外人は変わってるわ」と思ったら、なんとハムとチーズとさらにはマヨネーズまで持参してきていて、あっという間にサンドイッチにしてしまった。
この間の世界一周であらためて感じたことなんだけど、オトコばっかりというのも悪くない。「悪くない」というのはちょっとカッコつけすぎた。オトコばっかりというのは、かなり楽しいのだ。なにより、女性がいたらとてもできないような話が遠慮なくできる。女性がいたらとてもできないような話というのはどんな話か? 最たるものはエッチな話だ。その土曜日も、晴れ渡った空のもと、まことにビューティフルな瀬戸内海を眺めながら、とてもここでは披瀝できないようなエロ話に花が咲いたのだった。なんて健康的なんだ、児島の男子たちは。
日曜日はちょっと変わった友達と遊んだ。かなりの若者たちだ。ひとりはMクン、22歳。彼はうちの事務所エリアを担当している宅急便の配達員。いつもすごく愛想がよくて、ついつい「いつでも遊びにおいで」と言ったら、2カ月ほど前、ホントに遊びに来た。ひとりでふらっと。いつも宅急便のユニフォームを着ているので、私服でやって来た彼が一瞬誰だかわからなかった。
もうひとりはMクンの彼女のNちゃん、かろうじてティーンエイジャー。この子が『美少女図鑑』なんてメじゃないぐらいメチャクチャ可愛かった。Mクン、やるじゃないか。
「こんなに話ができるとは思いませんでした」
うちの事務所でコーヒーを飲みながら、大きな目を輝かせてNちゃんが言った。彼女、最初は結構緊張していた。でも、うちとけるまでにそう時間はかからず、さらには児島のうどん屋さんの話で彼女と盛り上がった。うどん屋をあまり知らないMクンはちょっとおいてけぼり気味。
「あそこだったら肉天のぶっかけうどんの冷たいヤツを食べるのよ、でも肉うどんだったら、稗田十字路のところにある○○が最高だよ、あそこはカレーうどんもかなり美味い」
「○○は行かないんですか?」
「たまに行くよ、鍋焼きうどんが美味しいよね」
王子が岳の動物園の話で盛り上がりはピークに。ここでも、行ったことがないMクンは完全においてけぼり。1万光年ぐらいの距離ができた。でも、盛り上がるぼくたちの横で、Mクン、いつもニコニコしていた。その顔を見ていたらちょっとかわいそうになってきた。
「じゃあ、そろそろ行ったら。デートでもしておいで」
ふたりはMクンの軽四輪で帰っていった。事務所の前に立っているぼくに、見えなくなるまで手を振っていたふたり。なんか、すごくすがすがしい気分だった。いやあ、若いっていいね。さあ、仕事しよう───ということでキャビネット製作に入ったことは前回のコラムに書いたとおり。いやあ、ホント仕事してないな、オレは。仕事、嫌いなのかな。