新・不定点観測

赤星豊

vol.383 仕事を作る

 いかがでしたでしょうか? Krash japan vol.9の新しいホームページ。昨晩、1時近くになってやっとアップすることが出来ました。いつもながら、東京で孤軍奮闘しているスタンド・ファウンデーションのスワキくん、岡山のフジワラくん、ムーランほかレイデックスのスタッフには大変お世話になりました。この場を借りてお礼します、ペコっ。


 発送が終わり、配布が終わり、こうしてホームページも終わり、いよいよあと1号という思いが徐々に強くなっていく。同時にvol.10の先、つまりKJ以降という、思わず目を背けたくなる現実が間近に迫ってきているのをひしひしと感じる。以前もここで述べたが、児島をベースに広告等の制作物を作っていこうというスタンスは変わっていない。問題はKJを作ってきたようなモチベーションや高揚感、「すんげえヤツ、見せちゃんるけん!」みたいな気概をもって仕事にのぞめるかどうか。
「モチベーションって、難しいですよね」
 ホームページの制作中に、レイデックスのムーランとそんな話になった。
「そうなんだよな。気がのらないと、まったくやる気にならないのよ」
「それ、わかります。ぼくもそうなんです。結構ヒドいんです」
「いや、おれはもっとヒドいぞ。半年先の仕事のことで、朝起きれんぐらいに落ち込むからな」
「ハハハ……」
 ぼくの場合、KJの高い評価が思わぬ障害にもなる。地元の読者から、「あのKJを作っていた人が、あれですか?」みたいに思われるような仕事はなるべく避けたい。夢を与え続けるというのは大げさな話で、可能だとはとても思えないんだけど、少なくとも失望させるようなことはしたくないのだ。まあ、そこまで期待している人は少ないとは思うんだけど。
 結局、ぼくは仕事を創出していかなければいけない、というのがいま現在の結論だ。ニーズにただ応えるんじゃなくって、自分が楽しめて、しかもクライアントが満足するという高いレベルの仕事を自分でクリエイトしていく───昨日までの「アート・ディレクター」はやめて(期間が短かったな)、今日からぼくの肩書きは「クリエイティブ・ディレクター」でいこうと思う。若干の気恥ずかしさがあるが、まあそういうことだ。


 今朝、ペイネに朝食のトーストを買いに行ったら、見たことないオジサンがカウンターでコーヒーを飲んでた。アサコさんが、「あの人、K水産の社長さんよ」と教えてくれた。K水産というと、ぼくの現事務所の倉庫でずっと営業していた会社だ。アサコさんがぼくのことを紹介した。紹介してくれなんて一言も言ってないけど。
「あ、そうなん。あそこでなにやっとん?」
 きさくなオジサンだった。
「はい、広告とか、そんなようなものを作ってます」
「あそこはえかろう? 静かで、家賃も安いし」
「はい、すごく気に入ってます」
「あそこは場所がええよ、あんたも儲かるで」
「え、そうなんですか?」
「わしもだいぶん儲けさせてもろうた。ええ家も建てたで」
「ゲ、マジですか?」
 いいこと聞いた。来年以降のことを考えて、朝からちょっとブルーだった気分が吹き飛んだ。クリエイティブ・ディレクター、結構いいかもしれない。