新・不定点観測

赤星豊

vol.355 iMac納品

 ついこの前、ヒトミちゃん用にiMac購入を決めた話を書いた。今日はそのパソコンの納品日。「3週間ぐらいかかります」と言われたのに、ふたを開けてみるとちょうど1週間で納品となった。普通、3週間かかるものが1週間で届くと嬉しい。たとえば、ぼくが現在ネットで購入している山本隆一郎の『GOLD』全16巻が、前倒しになって一日早く届くとなれば、一日早いというだけで小躍りして喜んだはず。しかし、ぼくにはiMacの納品日の前倒しを素直に喜べない事情があった。最新型24インチのiMac、約15万円。納品と引き換えに支払うことになっているその代金が、会社の口座に残っていないのだった。


 昨日、ネットで何度も残高を確認した。もしかしたら、なにか忘れていた仕事の入金があってポンと増えてやしないかと。でも、現実というのはかくも残酷なものか。昨日の時点でアジアンビーハイブの口座残高7万5072円。何度見ても7万5072円。今朝見ても7万5072円。これだけ見事に希望が打ち砕かれると、72円という半端な数字がバカにされているようで腹が立つ。なんだこの72円というのは? ナメんじゃないよ。
 それでもなんとか払うことができた。隠し資産をもっているとか、そんなのじゃない。500円玉貯金だって、この春にカメラを買ったから、まだ1万円も貯まってないし。でも、15万円ぐらい用意できなくて社長業はやってられないのだ。


 ヒトミちゃんのデスクにピカピカのiMacが設置された。もう本当にまぶしいぐらいにピカピカだ。ミヤちゃんとふたり、この真新しいパソコンを前に、「スゴいですねえ」「うん、スゴいねえ」「カッコいいですねえ」「うん、カッコいいねえ」と、老夫婦が初めて家にやってきた液晶テレビだか全自動洗濯機だかを目にするがごとく、触ることなくしばらく眺めていた。


 夜にはリュウくんがafter hourのスタッフ2名を連れて事務所にやってきた。ヒトミちゃんのパソコンのインターネットやらプリンターへの接続やらのセットアップをお願いしていたのだ。彼らから遅れてやってくること30分、ついにヒトミちゃんが登場。「こんばんは」とクールな感じで言って、倉庫のテーブルで打ち合わせしていたぼくとリュウくんたちの前を通り、部屋に入った。と、部屋のなかから「あっ」。
「パソコン、来たんですね!」
「うん、来たよ」
 ヒトミちゃんには、今日iMacが納品されることを言ってなかったのだった。それからはヒトミちゃんとおニューのiMacを囲んでの、みんなで寄ってたかってのセットアップ作業。パソコン1台をセットアップするなんて、なんてことない作業なんだけど、みんなでああだこうだと言いながらやるのは結構楽しかった。イベントみたいな感じで。
 ヒトミちゃんはリュウくんに写真の切り抜きのやり方を教わり、これからトリオ食堂で撮影した料理約70点の切り抜き作業に入る。これ、結構大変な作業だ。同時に次号でお願いしているイラストレーションもこのiMacを使ってこなしていくことになる。来週からはフル稼働だ。15万円の投資なんて、たいしたことないって。全然たいしたことないのだよ。(写真はヒトミちゃんのニューPC、ちなみに右隣の席はミヤちゃんのスペースになってます)