新・不定点観測

赤星豊

不定点観測:vol.88 倉敷(7)

088.jpg 5月18日、木曜日。倉敷市立美術館のすぐ近く、輸入家具・雑貨のお店「スプートニク」の隣に面白そうなショップができつつある。スプートニクの香川さんから何度も話は聞かされていた。店主がひとりで手がけている内装がメチャクチャかっこいいのだという。「あそこはマジでスゲえっスよ!」。ぼくとカワベくんは香川さんの熱い語りに「ふうん」てな感じで軽く耳を傾けていたんだけど、ある部分で同時にパクっと食いついた。そのお店、なんと営業時間が夜の10時から夜中の1時までらしい。バーじゃあるまいし、そんなわけない。そのお店というのはジーンズショップなのであるからして。
 こうして、この深夜バーのようなショップを探訪する児島からのツアーが組まれた。参加者はぼくとカワベくん、UFO事件以来久々の登場の小田クン、今やKJ編集室の家主でもある「Womb」のニシハラくん。この個性の強い面々がぼくの小さなサンクに乗り込み、11時も過ぎた深夜に倉敷へと向かったのであった(アニメの『ルパン三世』風の図でした)。

 ショップの名前は「SGF BYDENIMSMITH」(0)。正式にはこれに「アトリエ」とかなんとかがつくらしいけど、お店の表にもなかにもそれらしい表記がない。商品はお店の中央に無造作に吊るしてあるデニムが10本ほど。それとGジャンが1着のみ。営業時間も展示の方法も商品のラインナップもすべてが唯我独尊。その勝手気ままな雰囲気、お客にまったく媚びない姿勢が、店主Sクンのデニムへのハンパでないこだわりを感じさせる。
 途中から香川さんも参加した我が児島軍団は、しかし、どうもデニムにはあまり興味がないようだ。その代わりと言っちゃなんだが、お店の内装には興味津々である。「この床はどうなっとん?」とか「そこのスペースはもともとなんじゃったん?」。しまいにはSクンのプライベートルームである2階を見せてくれと言い出した。そして、大の大人6人が、お世辞にも広いとは言えない2階へとぞろぞろと。
 床が抜けるかと思った。築年数は40年ぐらいじゃないだろうか。天井やら壁やら剥ぎ取れるものはすべて剥ぎ取ってるいるので、木造家屋の芯だけが残ってるような状態なのである。Sクンの手の入れようにはみんな感心しまくっていた。とくにスゴいのは手作りのロフト。建築用の足場のパイプを部屋のなかに組んで、寝る場所をそこに作っているのだ。いやあ、ホント感心するよ。彼のセンスのよさは、店の内装はもちろん、商品にもバッチリいかされている。倉敷にこんな店が新しくできるなんて嬉しいよ。ちなみに今はプレ・オープン中とか。よくわからんんけど。

 で、みんなで何か食べて帰ろうかということになり、Sクンも誘ってロイヤルホストに入った。共通点はオトコというだけで、年齢も職業も着ている服のテイストも見事なまでにバラバラの6人が、夜中の2時にロイヤルホストである。しかも、「1000円は安い!」という理由だけで6人みんながステーキ定食をオーダーした。まわりのお客は気持ち悪かっただろうね。もしもぼくがそばにいたら、「コラムの格好のネタが来た!」と盗撮しようとしたかもしれない。夜中の3時。お腹いっぱいになったぼくたちは、そして児島へと帰っていったのだった。この児島軍団ツアー。好評につき、次回は岡山のカフェ「トーチカ」を予定している。倉敷の滞在日数、25日経過。