新・不定点観測

赤星豊

vol.83 プシェメク・ソボスキ

 MY%20ADIDAS-2%20%282%29.JPGちょうど2年前のことだ。ロンドンにいるカメラマンの金ちゃんから「友達のイラストレーターが代官山で個展をやるので見に行ってあげて」というメールをもらった。レセプション当日、会場に着いたのは夜の11時を過ぎていた。かろうじてまだ人が残っていた。
 芳名帳に名前だけ書いて帰ろうと思っていたが、そこに展示された作品につかの間目を奪われた。見たことがない色使いで、独特な暗さがあった。
「ハーイ、プシェメクです」
 ようやく聞きとれるほどの、遠慮がちな声だった。隣に金髪の男のコが立っていた。ぼくよりも少しだけ背が低い。日本ではあまり見ないタイプの存在感の薄い外国人だった。
 これがプシェメクとの出会いである。これが縁で彼はKJにイラストで参加してくれるようになった。付き合いはそれだけじゃない。その年、ぼくは3回ロンドンに行ったのだが、3回とも彼の部屋で寝泊りさせてもらった。昨春に彼が日本にやって来たときは、2カ月間、中目黒のマンションを提供した。彼はこの滞在中、日本で仕事を始める決意をし、夏に再来日。現在は代官山でデザインとイラストレーションの仕事をしている。ちなみに、プシェメクが中野に借りているマンションの連帯保証人はぼくだ。

 このプシェメクが「FouR」というファッションのブランドを興した。もともとファッションに造詣が深く、彼のイラストレーションもファッションからインスパイアされたものが多い。デザインコンセプトは彼と関わりの深い、ロンドン、パリ、東京、NYという4つの都市である。今年の秋冬の展開は、プシェメクのパリへの思いをコンセプトにしているらしい。KJでプシェメクの作品に興味をもっている読者の方も少なくないはず。彼のブランドに是非注目してあげてほしい。
 それにしても、来日してまだ一年と経っていないというのに、自分のブランドを立ち上げて、東京でバリバリ仕事しているなんて頭が下がる。彼のマンションの大家さんから一度も連絡がないということは、家賃もきっちり支払えているのだろう。彼とは時々、電話やメールで連絡をとっている。いつも「倉敷に行きたい」と言うけど、仕事が忙しくてまだ来倉にいたっていない。当分、来られないと思う。それぐらい多忙な身だ。「東京で働いてみたい」と夢を語るように言っていたのはつい2年前のことなのに。

 KJにはほかにもペドロとか、マチェイとか、ニョンくんとか、いろんな外国人のアーティストが参加してくれている。今後も彼らの近況なぞ随時報告していきたいと思っている。
(写真はロンドンのアディダスで展示されたプシェメクの作品。彼のデザインしたKJオリジナルTシャツは「ONLINE SHOPPING」で絶賛発売中!)