ぼくの部屋の音響設備はオトンのお古の小さなCDプレイヤーのみ。水色のボディでブサいくなことこのうえないんだけど、「音があればいいや」てな感じで思い入れもまったくないまま使って1年が経っていた。最近、ふと気づいた。「テープ機能が付いとるがな」(それまで1年間まったく気づかなかったのもどうかと思う)。話は変わるが、ぼくの車サンクの音響設備はラジオとテープ。もっぱらラジオばっかり聞いていた。テープを聴こうなんてこれっぽっちも思わなかった。曲の入ったテープなんてもう存在しないと思い込んでいたのだった。でも、部屋のCDプレイヤーにテープ機能を発見したとき、サンクのテープに思考が行き着いた。車で好きな音楽がかけられるのでは───。
マイ・フェイバリット集のテープ作りが始まった。最初のテーマは「元気が出る音楽」だ。1曲目はクラッシュの『ロンドン・コーリング』。2曲目『ショウ・ミー』(プリテンダーズ)、3曲目『ヘヴィーソウル』(ポール・ウェラー)、4曲目『チェルシー』(エルヴィス・コステロ)といった具合に、CDを入れ替えてはタイミングをはかってテープの録音スイッチを入れる。スイッチを切るタイミングが結構難しい。曲が終わって切ろうと思う直前に次の曲が始まったりするのだ。そんなときはテープを巻き戻して再度終わりの部分を慎重に聴き、ちょっとだけ早めにスイッチを切る。そうえいば、昔はしょっちゅうやっていた。レコードで録音していた当時は、針を落とす位置を微妙に調整したりして、1本テープを作るのに半日ぐらいかけていた。現在のデジタルの録音環境なんか、当時からしたら夢のまた夢みたいな世界だ。でも、この久々の、アナログチックで貧乏くさくてムダいっぱいの作業もなかなか楽しかった。今では車を運転しながら、「♪ロンドン・イズ・ドロウェナー、リブ・バイ・ザ・リバーアッ! アウアウアウォー!!」(『ロンドン・コーリング』より)なんて叫びまくってる。
4月30日、日曜日。GW2日目の今日は午後から倉敷へ。倉敷アイビースクエアで開かれている「倉敷・懐かしマーケット」(第20回を迎える骨董市)が本日の目的だ。晴れ渡った空のもと、「元気が出る音楽」のテープを大音量で聴きながら愛車サンクを駆る。もう最高だ。そのまま自分から対向車線を飛び出して、そのまた向こうの田んぼのなかに突っ込んでいきそうなぐらい。
倉敷の美観地区の手前で目も当てられないほどの渋滞にぶちあたった。アイビースクエアのレンガ塀はもう見えているのにまったく車は動かず。アイビーの担当者のT氏が玄関で待ってくれてるというのに。「よわったな」と多少イライラしてたのもあると思う。たまたまかかっていた大音量の『ロンドン・コーリング』に合わせて、「アウアウアウォー!!」と叫んでしまった。叫びながら、ふと全開にした窓の外を見た。左ハンドルだから、手に触れられるぐらいの距離で観光客が列をなして歩いている。見られていた。なかには振り返って見る人も。そりゃ見るわな。おれだって見るよ。オッサンが止まっている車から大音量でパンクの音楽を垂れ流して、「アウォー!!!」なんて雄たけびをあげてるんだから。気分的には最悪だ。さっきまでの田んぼに突っ込むいきおいは、まさにクラッシュしてしまった。
結局、歩いて3分の距離に15分もかかってしまった。だいたい、倉敷市が美観地区周辺に十分な駐車場を確保しないからこんなことになるのだ。頼むよ、倉敷市。倉敷の滞在日数、7日間経過。(写真は倉敷・懐かしマーケット。かなり盛況でした)