週末の出来事を並べてみる。まずは土曜日、いきなりメインイベントがあった。小田クンの結婚式だ。結婚式なんて何年ぶりだろう。10年か、いや15年ぶりぐらいか。最後に誰の結婚式に行ったのか、思い出そうとしてみたけどさっぱり思い出せない。まあ、結婚式なんてそんなもんだ。披露宴のスタイルも、食事も新郎新婦の衣装もどれも似たりよったり(ぼくの記憶の中では友人の新婦の顔まで似たりよったりです)。でも、小田クンの結婚式は20年経っても憶えていると思う。式も披露宴も、そんなにすごく変わった演出があったわけじゃない。それでも記憶に残るような気がするのは、式場にいる間中、すごく気分がよかったから。小田クンと新婦の美恵さんは、唯一ふたりが一緒にいられる休日の木曜日に、よく食事に誘ってくれた。ぼくは邪魔しているとはこれっぽっちも思わず、誘われるままホイホイと一緒に食事に出かけた。まるで弟夫婦のような感じがしていた。それだけに、彼らの結婚式には格別な思いがあったのだろう。
小田クンと新婦の美恵さんは、お世辞抜きで様になってた。新郎新婦が様になってるというだけで、結婚式の品格は上がるのだ。披露宴の最中、トイレに行こうとして外に出て、式場見学に来ていた若いカップルを見かけた。彼らが同じ式場の中央に鎮座している結婚式を思うと、ついつい親族に同情してしまう。まあ、それはそれで楽しい式になるのかもしれないけど──って、話が脱線したうえに、ものすごく失礼なこと書いてるね。
蛇足ついでにさらに蛇足をもうひとつ。3年ぶりに着たスーツの着心地は悪くなかった。結婚式に向かう前に、式場まで一緒に行ったカワベくんと「たまにはスーツもいいね」と言い合った。今度、スーツ姿で水島にラーメンを食べに行く約束までした。『PLUG』みたいに(岡山のタウン誌で妙にセレブ感あります)、遊びにゴージャス感を採り入れるのも悪くない。この秋、KJは『PLUG』路線でいってみっか。
日曜日は夕食にカレーを作った。病み上がりのオトンにはカレイの煮付けを作った。台所で料理していると、オトンが「今日のおかずは何?」と聞いた。「今日はカレイ。わしはカレーじゃ。オカンもカレイがよけりゃカレイがあるけど、カレイもあるで……あれ?」。アクセントが途中から変になって、カレイもカレーも同じ言葉にしか聞こえなくなっていた。おトンはもちろん、ちんぷんかんぷんだった。
食事が終わって、編集室に顔を出すと、前日に式を挙げたばかりの小田クン夫妻が1階のカフェWombに来ていて、オーナーの西原クン夫妻と話していた。その時刻、台風が接近していて、外は突風が吹き荒れていた。これじゃあお客も来ないわな、とみんなで2階の編集室に上がった。談笑している間、外の様子が気になって仕方なかった。真っ暗な窓の外、それでも波が堤防を越えて白いしぶきをあげているのが見えた。中学生の頃を思い出す。当時、台風で学校が休みになると、必ずといっていいほど海に行った。水位がそれほど高くないときは、波がひいた瞬間に堤防を超えて海側の細い通路に下りて、波がこちらに向かって迫ってきて、堤防をたたく直前にまた堤防を陸側に飛び越える。そんな命がけの遊びを繰り返していた。まあ、典型的なアホ中学生である(そこまでのアホはそうそういないから、典型的というのもどうか)。
ぼくは「ちょっと海の様子を見てくるわ」と、彼らを部屋に残して外に出た。さすがに堤防を超えはしなかった。水位が高くて超えるどころじゃなかったのだ。堤防から10メートル以上も離れているのに、シャワーのように顔に波しぶきを浴びた。唇を舐めるとしょっぱかった。なつかしい感じがした。この週末の感想───生きててよかった。