我が赤星家は崩壊の危機から脱したようだ。昨日からオトンの調子が少しよくなってきた。まだちょっとフラフラするらしいけど、ご飯も普通に食べられるようになった。でも、さすがにオトンも今回のことで不安になったらしく、「豊がおらんかったらどうなっとったか」なんて弱音を吐いたりした。まあ、ぼくは東京を引き上げたわけだし、「おらんかったら」ということにはならない。でも、オトンがずっと寝込んだりしたらお手上げだ。そのときはオトンには入院してもらって、オカンは一時的にでも介護施設にでも入ってもらうしかない。でないとみんな共倒れだ。これまでずっと、「なんとかなる」と楽観してたけど、今回のオトンの一件でちょっと現実的に考えさせられた。現実的に考えたら、現実は思った以上にシビアだった。頑張ってみても「なんとかならない」ことってあるのだ。
今日は午後から結婚式だ。もちろんぼくのじゃない。カスタムバイクショップ「Flag Staff」の小田クンのである。小田クンといえば、vol.1のKrash Peopleに登場してくれたり、vol.4ではファッションページのアイデアを出してくれたり、あのスチール製のフレームを作ってくれたり、KJでもなにかとお世話になっている。彼女の美恵さんとは10年ぐらいの付き合いになる。たぶん、ふたりとも、もっと早く結婚したかったんだろうけど、小田クンの仕事が軌道にのって将来の図が描けるようになるのを待っていた(いまや「Flag Staff」は3年先までオーダーが入るほどのお店になっている)。他人の結婚をこれだけ嬉しく思えるのは初めてかもしれない。彼らにはホントに幸せになってほしい。
今日これから家に帰ってスーツに着替え、Wombの西原クンとカワベくんと一緒に倉敷の式場に向かうことになっている。まだ1時間ぐらいある。窓から見える海は、台風の影響だろう、珍しく波がある。風の音に混じって波の音が聞こえる。木々が葉を揺らす音が聞こえる。白い軌跡を残して走る漁船のエンジンの音が聞こえる。広場でフットボールの練習をしている女の子たちの声が聞こえる──。こんなに穏やかな気持ちでいられるのは、倉敷に帰って以来初めてだ。2日前はオトンのことでほとんどパニックになっていたのに。人生、明日はどうなるか本当に分からない。こんなときには『風とともに去りぬ』のヴィヴィアン・リーの最後のセリフを思い出す。“Tomorrow is another day.”