新・不定点観測

赤星豊

vol.69 ミッション・インポッシブル

 野球チーム発足に向けて順調にスカウティングが進んでいる。現在、集まったメンバーは10人。「子ども会の行事で行けないんだよねえ」なんてことが多々あると思うので、最低でも15人は頭数を揃えたい。が、最大の課題はピッチャーだ。現在のメンバーのなかにピッチャー候補はいない。100人揃えても、ピッチャーがいなければ烏合の衆。餅の入ってないお雑煮、田原さんのいない「朝まで生テレビ」みたいなもんである───と、そんなことは後で考えればいいのだ。今、一番考えなきゃいけないのは、あさってに控えた「レディオ・クラッシュジャパン」。なんと、ゲストがまだ決まっていないのである。これマズいね。最悪にマズい。「毎回素敵なゲストを迎えてお届けする───」なんてうたってるのに、いまさら「ラジオに出てくれない? あさっての夜なんだけど」なんて声をかけて素敵なゲストは来てくれるのか? もうこれってミッション・インポッシブルだね。

 ただいまKJはクライマックスを迎えている。クライマックスを迎えているというのに、黒住光からはいまだ原稿がこない。
「頼むから明日には原稿をくれ」
「明日っての正しいね」
「…………?」
「今日くれっていわれても無理だし、あさってと言われるともっと先に延ばしてしまいそうだからな」
 ぼくは笑うに笑えない。
「……じゃあ明日くれるのか」
「わかった。頑張るよ」
 と、そんな会話を交わしたのが何日前だったか。それから待てど暮らせど原稿は来ない。一度の催促じゃ、ヤツにとっては催促じゃないのだ。いつか、電話代の請求書についてこんなようなことを言っていた。
「請求書で払ったためしがない。オレにとっては督促状が請求書だ」
 こんな男に原稿を期日内に書かせるのはイーサン・ハントでも無理。ラジオに引きつづいての『MI:Ⅱ』である。とはいえ、電話回線がとめられることはあっても、原稿をぶっちぎってしまえるぐらいの豪傑ではない。遅れる幅にも彼なりの計算があるのだ(はっきり言おう、その計算は間違ってるぞ)。ぼくはいつやってくるともわからない船の寄港を「まだかな、まだかな」と橋の上で待つ下津井の遊女のようなものだ(これは「まだかな橋」というストーリーでvol.4に掲載されています。乞うご期待!)。
 不可能なミッションが目の前にふたつ。ああ、マカオにでも逃避したい……。