朝、ボビィくんからメールがきていた。紙芝居のボビィくん、倉敷の有名人のひとりである。彼の名前はいろんな人に聞いていた。でも、なかなか遭遇する機会がなく、昨年の忘年会に彼を招待してようやく紙芝居を見ることができた。これがまったくウワサに違わなかった。ゆるさがハンパじゃないのだ。起承転結があるようなないような、ストーリーだってほとんど展開しないし。それでも、なんともいえない味わい深さがある。忘年会に集まっていたクセものたちが揃ってとりこになった。ボビィくんの紙芝居、紙だけに神がかっているのだった(久々にやってみたぞ)。
以下、今朝のメールの彼の文面。「おはようございます! ぼびぃです。今日、赤星さんお暇ありますか? 僕はお仕事がお休みで、もし都合が合えばお話ししたいなぁと思います」。やることなすことみんなおかしい。メールだって、この短文にこれだけ味が出せるのである。ボビィくんは「紙芝居界の山本KID」だ。「おれ、神の子」と言われたら、「やっぱ、そうなんだ」と得心してしまう。
昼過ぎにボビィくんが編集室にやってきた。ぼくは早速、次回のKJフェスのことを話した。ボビィくんには是非出演してもらいたいと思っていたのだ。エコをテーマにやるんだと力説した。ボビィくんもテーマに賛同してくれたのか、目を輝かせて話を聞いてくれた。
「だからボビィくんに、エコをテーマにした紙芝居をやってほしいんだよね」
「実はエコっぽいのがひとつあるんだ」
「うん? どんな話?」
「かぶの葉と大根の皮の話」
「か、かぶのはと、だいこんのかわ?」
ボビィくんは車に積んだ紙芝居をすぐに取りに行った。戻ってきたそのバッグにはダンボールの切れ端みたいなのがいっぱい詰まっている。そのダンボールこそ、紙芝居の絵が描いたやつなのだ。ボビィくんはそのなかからひと束手渡してくれた。その一枚目にはこうあった。「かぶの葉とだんこんの皮の大冒険」。ボビィくん、おかしすぎるよ。いったいどんな頭してるんだ?
ちょうど1時間ほどしてボビィくんは帰っていった。充実した楽しい打ち合わせだった。具体的な方向性も決まった。なんと次回KJフェスでのボビィくんの紙芝居の原作をぼくが担当することになったのである。楽しみな反面、ちょっとよわったという思いがないでもない。だって、相手はボビィくんだよ。「かぶの葉とだいこんの皮」だよ。「主人公は博報堂のクリエイティブ・ディレクターで」なんて言ったら、神の子の鉄槌がくだるやもしれん。───自然に戻るのだ、編集長。子供の頃に戻るのだ。そうだ、次号の入稿が終わったら、ここいらの海辺でガザミ(瀬戸内海にいるカニです)でも釣ってみよう。あるいは山に行って、そり遊びでもしてみるか。うん? なんか楽しみになってきたぞ。