新・不定点観測

赤星豊

不定点観測:vol.56 東京(6)

056.jpg 前回のヒゲの観測に続いて、今回はぼくの「食」を観測してみたい。自慢じゃないが、人一倍食意地がはってる。昼食を食べながら「夜は何食べよう?」と考えてることが多い。1日3時間ぐらいは食べ物のことを考えてるかもしれない。でも、だからといって美味いもんばっかり食べてるかというとそうでもない。ちなみに今日の晩御飯は、中目黒のスーパー「プレッセ」で買ったちらし寿司(夜遅かったので880円が3割引で616円ナリ)と、セブンイレブンで買ったサラダ(150円)にカゴメ野菜生活(105円)。昼はファミリーマートで買ったサンドイッチとおにぎりだった。あ、悲しくなってきた……。カラダには気を遣ってるかもしれんが、これじゃ心がダメになる。もしかしたら最近の眠い眠い病は、この食事が原因かもしれん。今夜寝る前に、明日何を食べるかしっかり作戦をたてよう。

 1月30日、月曜日。昨晩、やっと原稿が終わった。ずいぶん肩の荷が下りた。前回、小倉が言ってたけど、ぼくらぐらいの歳になると、取材原稿はもうキツいみたいだ。命を削りながら書いているような気さえする。今回は1カ月ほどの執筆で3年ぐらい寿命を縮めた感じだ。これまでも相当縮めてるから、もしかしたらもう寿命を過ぎてしまってるかもしれない。こりゃイカん。明日からは1日1日を大切に生きることにしよう。
 今日はニシハラくんのオフィスで今回初の入稿作業。夕方に千代田グラビア(印刷屋さんです)の担当の清水さんがやってきて、15ページほどの材料をもって帰った。初入稿を終えた後、ふたりで表紙にとりかかった。表紙を選ぶのは、ほかのページとは気合の入り方も違ってくる。前回は数枚の候補のイラストにロゴを付けて出力し、壁にぺたぺたと貼って見比べた。ニシハラくんとふたり、椅子に座って腕を組み、ただじっと壁を眺める。そのうち、ひとつ外し、ふたつ外しして、最後に残った2枚を見て、イラストそれ自体と、ロゴとの兼ね合いについてああだこうだと議論を交わすのである。
 今回も同じような作業をやることになると思っていた。ところが、1枚目に出力した候補が圧倒的に光っていた。もうそれ以外、考えられないほどの完璧さだったのだ。早速、雑誌のサイズにカットして、創刊号の上からかぶせてみた。もう惚れ惚れしたね。奇跡的な美しさ。ずっと見ていたいぐらいの美しさ。いやあ、この仕事をやっててよかったとつくづく思った。それでも、これ以上はないとわかっていても完璧を期すつもりで、他の材料でも出力してくれるようお願いした。すると、「粘りますね」とニシハラくん。彼もそれ以上はありえないと感じていたのだ。結果はいうまでもなく、最初に出力したものに。楽しみを残しておくために詳しくは書かないが、創刊号とはまた趣きのまったく違う、雑誌の歴史に残るような傑作の表紙が出来上がった(ちょっと言い過ぎたかな)。お披露目まであと1カ月。楽しみに待っててちょうだい。

 ヒゲがだいぶん伸びてきた。今日の表紙の件からして、このヒゲ、幸運をもたらしてくれてるのかも。もうどう見られたっていい。志村けんの「ヘンなオジサン」と呼ばれてもいい。Vol.2が世に出るまで、剃らずにいることにする。結構、願をかけるタイプなんです。古い男なんです、わたし。東京の滞在日数、15日間経過。