新・不定点観測

赤星豊

vol.5 我が家崩壊の危機!

 vol.2でざっと自己紹介してみた。つらつら書き並べた自分のデータを見て、「倉敷市内で『嫁にやりたい男ベスト100』に入るかもしれない」なんて書いた。でも、ひとつ大切なことを書き忘れていた。実はぼくには「嫁にやりたい男」から、一気に「嫁にやりたくない男」へ転落させるに十分なディスアドバンティッジがある。
 家族の項目のところで父母のことを書いた。ぼくはこのオトンとオカンと3人で実家に暮らしている。問題は母の方だ。2年前に脳梗塞をわずらい、右半身に後遺症があるのだ。結構な言語障害もある。おまけに脳梗塞が原因でうつ病にもかかって、えらく手がかかる。そんな家に住んでる男に娘をやりたいなんて思う親はいないだろう。でも、全然いいのよ、オレは。それなりに幸せに暮らしているとさえ思っているから。

 家の中はオトンが元気だから助かってる。ぼくは家の炊事を担当、オトンは掃除と洗濯だ。一度も話し合ったこともないのに、オカンが退院して以来ずっとこの分担は厳格なまでに守られている。実際、オトンはよくやってると思う。家のことだけじゃなく、オカンに24時間付き添っていて、お風呂に入れたり、食事を口に運んだり、オトンに対してかんしゃくを起こしてもじっと耐えている。いくら母親といえ、ぼくには到底オトンのまねはできない。「オトンが倒れたらこの家は崩壊するな」。何度かぼくがオトンに言った言葉だ。もちろん冗談半分で言ってたわけだけど、今その言葉は冗談にならない。昨日からオトンが寝込んでしまったのである。

 メニエル症候群というらしい。オトンいわく、「目に見えるものがグルグル回っとる」。もう目を開けていられないのだそうだ。何年か前から、年に数度、この発作に襲われるようになった。オカンが脳梗塞を患ってからは、気がはっていたのか、発作は起きなかった。それが昨日になって突然出た。昨日の夕方は1時間ぐらい吐き続けていた。
 オトンが寝込んだら、オカンが突如行動的になった。「自分が何かしないと」という気持ちはよく分かるんだけど、実はこれが一番の頭痛の種になってる。無意味に動き回って、昨日なんか寝ているオトンにつまずいて転んでしまった。食事の用意を手伝ってくれるのはありがたいが、やることはすべてとんちんかん。言うこともとんちんかんなのに、ああだこうだと言いたいことは言う。オカンの顔を見るだけでイライラする。そうするべきじゃないのは分かってるんだけど、こればっかりはどうしようもない。

 今朝になっても発作はおさまらず、朝からオトンを病院に連れて行った。病院から帰ると横になり、今もずっと横になったままだ。その間、ぼくは洗濯をし、昼には普段作ったことがないスープなぞをオトンのために作り、夕方にはおかゆとオカンの食事を作り、そして今やっと編集室に戻ってくることができた。───崩壊だ。オトンがいないと本当に我が家は崩壊する。オレには無理よ、無理だって……。明日になったらオトンが元気になっていますように。たのんます!