新・不定点観測

赤星豊

不定点観測:vol.48 倉敷(6)

048.jpg 一富士、二鷹、三なすび。これ、初夢で見ると縁起がいいといわれているものである。そのいわれには諸説あるらしいが、徳川家康が好きだったものという説を聞いたことがある。でも、どうみてもこりゃ至難の技だ。富士山なんて、これまで生きてきて夢に出てきたことがないし、鷹もなすびもない。だいたい、鷹やなすびが出てくるってどんな夢だ? 鷹匠になってる夢とか、マーボーなすを食べてる夢とか? 一番見る確率が高いのは、しいて言えば富士山か。そんなわけで、今年も寝る前に植木屋の仲間と富士山に登ったときのことを思い出しながら寝た(22〜23歳の頃植木職人でした、わたし)。
 2時間ぐらいの睡眠の間で夢を見た。ぼくはサイパンにいた。『ダカーポ』の前編集長の遠藤成さんと一緒に。あとは漠然としてなんにも憶えてない。ちなみに遠藤さんは47歳のオッサンである。目が覚めてすぐため息が出た。なんで初夢がサイパンなんだよ、なんでよりによって遠藤さんなんだよお! やっぱり富士山やら鷹やらなすびなんて夢にありえんのだ。だいたい、400年も前に生きてた人が好きだったものがまだ初夢の縁起物だっていうことに無理がある。来年からは勝手に決めさせてもらう。一UFO、二野球、三将棋。これが来年の初夢の縁起物です、みなさん。

 1月4日、水曜日。今日から気分を一新することにした。ぼくの1年は今日から始まるのだ。まずはその一歩。朝一階の居間に下りて、両親を目の前に仕事始めの宣言をした。
「今日から仕事を始めることにしましたッ!」
 間髪入れずオカンが言った。
「いつまで?」
「……………」
 考えてみればオカンの発想は間違ってない。始まりの予定を告げたなら、終わりの予定も告げねば。
「とりあえず……9月の上旬あたりまで」
 今年の仕事始めは長島有里枝さんの写真のセレクト。アートディレクターのニシハラくんが児島に帰省しているので、彼の家に写真のベタ焼きをもって行った。彼が今回の長島さんの写真を見るのは初めて。「いいですね、やっぱり」。彼も満足そうだ。いい写真を前に構成を練るのは楽しいもんだ。1時間ほどで構成が決定した。あとは長島さんにセレクトを伝えて、プリントをあげてもらうだけ。特集の前半はもうもらったようなもんだ。
 ニシハラ家から、久々に水島に向かう。目的はかつて商店街にあった水島の映画館の写真の探索。昨年から探してるんだけどなかなか見つからなかった。でも、当時支配人をしていた雨宮さんのお宅を探し当てていた。支配人の雨宮さんは亡くなっているが、家の人がもっているかもしれないと訪ねてみたわけだ。ご子息の奥さんであろう女性が出て対応してくれた。写真は探してみないと分からないらしい。「是非、探してみて連絡をいただけますか?」と言って名刺と雑誌を置いてきた。写真がなかったらどうしよう。どこぞにおらんかいの、そんな写真をもってる人。商店街に来たついでに、行きつけの「GERUZ」(0)に寄って鈴木秀さんに新年の挨拶(彼には水島特集で登場してもらってます、写真は実物よりかなりカッコいいです)。帰りに水島港に寄ってタバコを吸った(写真)。ここはシュワーベ教授に教えてもらった場所で、休憩によく利用させてもらってる。船の待合室にはトイレもあるし。
 久しぶりに水島を訪れて、断然仕事のやる気が出た。まず乗り越えるべき山は水島特集、これ以外にない。ガツンといったるで! 倉敷の滞在日数、9日間経過。