新・不定点観測

赤星豊

vol.39 とある女の子と

3-039.jpg昨日の29日、新しいギャラリーが倉敷にオープンした。名前を「toaru(とある)」という。スタッフとして倉敷のギャラリー「punto」にいた前原さんが独立、同じ場所で名前を変えて新たにオープンしたのである。
 オープニングパーティに顔を出した。だいたいこの手の場には、記帳したらそそくさと踵を返すというのがぼくの行動パターン。でも、昨晩は違った。見知った顔がありすぎるぐらいあった。まずはライブハウス「ペパーランド」のオーナーで、岡山の重鎮的なアーティストでもある能勢伊勢雄氏にごあいさつ。お次は会場のVJを務めていた佐藤クン。それから、KJフェスティバルでDJをやってくれた末永さん、ACUTEと一緒にライブペインティングをやってくれたSeikouさん、KJのJO-KEN-POに参加してくれている美弥ちゃん、tweet rockaのサチさん、Shubyのタカさんなどなど、会うと顔がほころぶようなお馴染みがいっぱい。倉敷に帰るようになって2年、我ながらたくさんの知り合いができたもんだ。

 この日、ぼくがたいそう衝撃を受けた人が何人かいる。まずはアコギとハーモニカだけでパフォーマンスをしてくれた「パンパース」のふたり(どうもこのユニットは即席のようだ)。笑いをとろうとしているわけじゃないんだけど、なぜかこのふたり、たまらなくおかしかった。しかも日本語でオリジナルの曲も歌ってるし。我がClips、完全に敗北しました(KJフェスで披露したぼくの即席バンドです)。次回のKJフェスには絶対に彼らに出てもらおう───と、すでに興行主の見方が身についている自分に驚く。
 さらにビックリしたのが、「toaru」初のエキシビションを担当したアーティストのチコちゃん。ミニスカート&ブーツといういでたちで、はじけた感じの若い女の子だった。浜崎あゆみがかけていそうなサングラスも今っぽい。この日、「パンパース」の後を受けて、彼女がオリジナルを数曲披露した(写真参照:手前で踊ってるのは、どこでもどんな曲でも踊れるタカさん)。これが実によかった。絵か歌か、どっちのアーティストなのかわからないほどで、じっと聴きいりながら、隣にいた美弥ちゃんと、「多彩な子だねえ」と感心することしきりだった。
 そのチコちゃんがである。帰る際に「お先に失礼します」と逃げ腰で声をかけたら、「赤星さんですよね」だと。断言できる、ぼくには浜崎あゆみ風の若い女の子に知り合いはいない。きょとんとするぼくの顔を見て、彼女がサングラスをとった。
「……………?」
「前原と一度───」
「…………グッ、あの子?」
 2カ月ぐらい前になるだろうか、前原さんと一緒に編集室に遊びに来てくれた女の子がいた。たしか実家の近所のカフェで働いているとか言ってた。ひかえめな感じの、地味でおとなしい子だった。ひかえめな感じだったけど、よくおぼえている。顔もしっかりおぼえいている。なのにこの2時間、まったくチコちゃんと彼女が結びつかなかった。いやあ驚いたね、たまげたね。同時に、浜崎あゆみ風のサングラスをかけた今っぽい女の子から声をかけられる自分が誇らしかった。やるじゃん、オレ。
 みなさん、ぼくの友達の──もうしっかり友達だ──チコちゃんの作品がしばらく「toaru」に展示されています(倉敷市川西町16-13 くらしきエクセレンスビル3F)。是非足を運んであげてください。もちろん、彼女にも次回のKJフェスに出演してもらいます。乞うご期待!(興行主より)