新・不定点観測

赤星豊

vol.38 台割

3-038.jpg 今日、初めて台割に手をつけた。台割とは雑誌の設計図のようなもので、どのページにどの記事をはめ込むかを書き込んだもの。これを見れば、だいたいどんな内容の雑誌になるか見当がつく。やろうと思えばもっと早くに手をつけられた。台割を作ることで、ぼく自身、どんな雑誌に出来上がるか早く知りたかったし、やらなければならないことの整理がつく。でも、ここまで引っ張ったのは、なるべく頭のなかで本誌の構成を練りたかったから。俗にいう、「あたためる」というやつだ。───機は熟した。今日、編集室に来て、直感的にそう感じた。どこかパスタにも似ている。アルデンテでおいしく茹で上げるのは、ほんの数秒、このタイミングしかない。今日がまさしくそうだった。

 1時間ぐらいでできた。Vol.4、初の台割。これから2月の入稿のギリギリまで細かな変更が加わることになるが、おおよその雰囲気はこれでわかった。さて、このvol.4は面白いか───「うーん、よくわからん」というのが本音だ。思えば、前の3号もそうだった。台割を作った時点では、面白いのかどうかよくわからなかった。入稿した時点でもわからなかった。「これ、イケるんじゃないかな?」と思えるのは、色校正がまとまった時点、つまり雑誌ができあがるギリギリまで面白いかどうかなんてわからないということだ。逆にわかったことがひとつがある。これから2カ月間でやらなきゃいけないことが山のようにあるということ。ベックを膝にのっけて、ぼうっと海を見てる場合じゃないのだ(今日、ベックにウンコをつけられた……)。

 今日は2週に1度のエディター塾の日。最近は生徒が多いときは5名にも膨らんで、普段ひとりで使っている編集室では手狭な感じになってきている。やることは毎回ノーアイデア、なりゆきで話していることがほとんど。生徒のみんなは楽しみにしてくれているようだけど、ぼくは塾の講師としての資質に疑問を感じている。前回こんなことがあった。最近通い始めたAさんが作ったフリーペーパーをみんなで見て、意見を言い合った。
「いいと思いますね」と玉島から来ているデザイナーのOクン。ぼくはというと、1ページだけ妙にデザインが浮いているのが気になった。そのフリーペーパーは4つ折に折ったもので、4ページを一面で見ることができる(表裏で全8ページ)。その一面の右下のページだけ内容が薄く、デザインも趣が違って統一感を欠いていた。
「ここのページはコラムにして、他のページに入れてもよかったね」
 ぼくの言葉に一同うなずく、かに見えた。ところが先のOクン。
「そうかなあ、ぼくはこれでもいいと思いますけどね」
 デザインと編集にまったく自信がない、と言っていたOクン。しかし、講師のぼくが白といっているのに黒だと言う。講師であるからして、なぜに白なのかは説明した。それでも黒と言う。Oクンというのは面白い素質をもってると思う。彼と話してるのはなかなか楽しい。でも、いつの日か、「白だ!」「いや黒です!」と言い合いになるかもしれない。もともと論理だてて説明するのが得意じゃないのだ。しかし、そうなったらなったでそれもまた面白そうである。絶対ゆずらないよ、おれは(だから講師の資質に疑問を感じてるわけです)。