新・不定点観測

赤星豊

不定点観測:vol.38 ロンドン(2)

 前回のvol.37 はピカデリーにあるジャパンセンターで書いた。そこには日本語が使えるパソコンが3台あって、 料金は30分で2ポンド。こっちの相場は1時間1ポンドぐらいだから結構高い。昨日、久しぶりにこのジャパセン(こっちの日本人はそう呼んでるからぼくもそう呼ぶことにしてみる)に寄って、メールをチェックし、このコラムを書こうとしたわけだ。
 なかなかスリリングな経験だった。15分ほどメールの返信をしてたので、残りの時間は15分。いつもは1時間ぐらいかけて書いてるんだけど、「まあなんとかなるか」てな感じで、軽い気持ちで書き始めた。時間がないから読み返したりしない。もう勢いで思いつくままずらずらと書き進めていくだけ。その間にも、モニターの下にある残り時間の表示は刻々と減っていく。アクション映画によくある、時限爆弾の起爆装置をはずそうとするシーンみたいだ。まあ、爆発するわけじゃないけど、これまで書いた分はきれいにすっ飛んでしまう。書き手としては、爆発に等しい。
 残り時間2分。若干の焦りが。いつも使ってるパソコンじゃないところがまたミソで、思うように変換できなかったり、おまけにマウスの調子がやたらおかしい。残り時間1分を切った。まだしめくくりが考えつかない。握った拳に力が入る、って拳を握ってる場合じゃないんだけどね。パソコン使ってるわけだから。残り時間20秒、やっと最後の文をしめくくり、いつものように「○日間経過」と書こうとする。でも、はて、何日だ? ロンドンに着いたのはいつだっけ? 子供のように指を折って数えて、みたいなことをやってるうちついに10秒を切っていた。もうこうなりゃ緑でも赤でも思いつくのを切断するしかない(起爆装置の配線のことです)。適当に「4日間」と書いて「送信」のボタンを押した。するとモニターに、写真のない、地味な「vol.37」が徐々に姿を現した、と思ったところでさっとモニターが元の壁紙に戻った。
 いやあ、ほんと焦った。しかし、この「vol.37」だけは絶対に読み返したくないね。たぶん、ろくなこと書いてないだろうから。

 12月20日、火曜日。今日は夕方に写真のあがりをチェックするだけ。これで今回のロンドンでの仕事はすべて終了だ。明日から金曜日までまる3日間オフ。本当はKJの進行のことを考えるとオフなんかとってる場合じゃないんだけど、飛行機のチケットがとれなかったんだから仕方ない。レイキャビックに行こうかとも考えたけど、私的経済事情がよろしくない。昨日、バスで「ダブリンまでのチケットがわずか20ポンド!」みたいな広告を見て「お、いいかも」とも思ったが、やっぱり今回はやめとこう。んなわけで、オフは映画館と美術館、ギャラリーで過ごすことになりそうだ。まあ、それも悪くないんだけどね、外はめちゃ寒いし。
 昨日、リージェントストリートの写真を撮った。イルミネーションがさすがにきれいだった。そういえば、その写真をこの回にアップすると書いたけど、ぼくの同居人で、このパソコンの所有者であるプシェメクが仕事に行ってる。データの取り込み方がわからない。夜になったら彼にやってもらおう。というわけで、また今回も写真なし。すまんことです。ロンドンの滞在日数、5日間経過。