我が家の干し柿に早くも新たな展開があった(vol.27を読んでみて)。知らない間にオトンが干し柿をぼくの部屋のすみっこへと移動させているのだ。KJ編集長の自宅の部屋に干し柿、まあそれも野趣があって悪くないんだけど、問題は干し柿それ自体である。20個ほどあるうちの皮をむいてあった数個が、えぐられてグチャグチャになっているのだ。早速、オトンに聞いてみると、なにやらスズメにやられたのだと言う。
「なんでスズメって分かったん?」
「わしが洗濯物を干しに2階に上がってみたら、スズメがまぶれついとるが。ベランダの手すりもスズメの糞でもうワヤじゃ」
その夜、家に帰ると、オトンが訴えるようにぼくに言った。
「今日、干し柿を見に行ったらの、スズメが部屋ン中まで入ってきて柿をつつきょうったんで。もうあいつら、しのげんの」
これで無事食べられそうな皮をむいた干し柿は残りわずかとなった。スズメは皮をむいていない柿には見向きもしなかったようだ。今もツルツルといいツヤをしている。皮をむかずに干し柿にするとどうなるか、その後の経過は随時報告することにしよう。
11月29日、火曜日。今日、カメラマンの染ちゃんが東京から児島にやってきた。12時少し前に携帯電話に連絡が入り、「いま、駅前のジョイフルでお昼を食べたところです」と。いやあ、さすがは染ちゃん、いきなりやってくれた。今日は昼から料理の撮影だと伝えておいたのに。撮影した料理は、捨てるとお店に悪いので、編集者とカメラマンが食べるというのがぼくの常識だ。ジョイフルなんかでひとりでお昼を食べてどうするのよ、染ちゃん。
駅前で彼女をピックアップすると、彼女は開口一番、こう言った。「三脚を忘れたんですけどいいですよね」。あ、三脚ね、そうね、いらないかな、なんとかなるかな………ならないよ、絶対。というわけで、撮影現場に向かう前にカメラのキタムラに寄って3万円以上もする三脚をカードで購入。「これが今回のギャラだからな」とまじめな顔で言うと、彼女は「キャキャキャ」と無邪気に笑ってた。これがKJ第2号の撮影のしょっぱなのしょっぱな。もう先が見えません、わたしは。
夕方、撮影が終わって彼女を鷲羽ハイランドホテルに送っていった。このホテルは倉敷アイビースクエアと並んで、東京や大阪からきたKJスタッフの宿として利用させてもらっている。このハイランドホテルは瀬戸内海が見渡せる展望大浴場&露天風呂で知られる。以前、黒住光がここに泊まったとき、お風呂だけ入ったことがある。まさに絶景だった。部屋からの眺めも素晴らしい。おかげで観光気分が抜けず、なかなか仕事モードになってくれなかった。染ちゃんも同様だった。今回も染ちゃんはすでに観光気分だ。
「今日はパジャマももってきたし、お風呂で見れるテレビももってきたんですよ」
KJを最初にスタートさせるにあたって、かつて染ちゃんにこう言った。「とにかく楽しんでやってほしい」と。たしかに染ちゃんはこの仕事を一番楽しんでるかも。意味が全然違うんだけど、まあいいか。いいな、もういいよ……。倉敷の滞在日数、6日間経過。