新・不定点観測

赤星豊

vol.28 フリーゼミ in 中国デザイン

 今朝から顔を見たら合言葉のように言われる───見たよ!。昨晩放映された山陽放送の『VOICE21』に出演してみたのである。午前中にベティスミスに行くと大島社長から「見たよ、赤星クン!」。午後からはビッグジョン、まずは受付の木村さんから「昨日見ました」、そしてプレスの正岡さんから「見ましたよ、赤星さん」。同社の吉村さんからは昨晩携帯にわざわざ「見ましたよ」の留守電まで入れてくれていた。それからドミンゴに行くと、三谷さんからこれまた「見ましたよ」の洗礼を受けた(三谷さんはわざわざ実家のお母さんに電話で録画予約をお願いしてまで見てくれたらしい)。
 こんなに会う人会う人がみんな見ているとは思わなかった。だって、なんら事前に伝えていなかったのだ。ほかにも同級生や従姉妹や、それから知らない人からまでたくさんのメールをもらった。おそるべし、『VOICE21』である。そんなにみんな見てるんだったら、ちょうど2年前に行方不明になったうちの番犬タロウの情報でも流してもらえばよかった。それにしても、みんなありがたいね。ホント、ありがたくて涙が出る。当のぼくはといえば、実は番組を見ていない。昼間家を出る前に録画予約をしていたんだけど、そんなものはこれまでやったことはなく、家に帰ってみると、案の定、録画できてなかった。

 昨日は中国デザイン専門学校で夕方から1時間のフリーゼミをやった。ファッション科の学生が約70名。教室は満杯の状態で息苦しいばかりだった。
 話しはじめると、学生の様子がちょっとおかしいのに気づいた。話しているぼくの方を向いている生徒よりも、机に向かってペンを走らせている生徒の方が圧倒的に多いのだ。それも、いたずら書きをしているような雰囲気ではなく、一生懸命メモをとっているという風である。後でわかったんだけど、ゼミの後にレポートを提出しなきゃいけないらしい。それだからか、打っても響かない。リアクションがない。調子が狂ったね、変な汗かいた。おかげでぼくの話はあっちに行ったりこっちに行ったり。それでもなんとか40分ばかりの講義を終え、質問タイムに入った。ゼミの直前に担当の先生から「質問の時間を15分ほどとるように言われていたのだ。
「でも、手を挙げる生徒がいなかったら寒いですよ」
「いやいや、うちの生徒はガンガン行きますよ」
 と、やけに自信たっぷりだった。で、言われた通り、15分前に話を終えて質問にふった。
「じゃあ質問にいきます。誰か質問がある人は?」
 やった。やってしまった。30℃ぐらいあった部屋の気温が30℃は下がった。だから言ったのだ、寒くなるよって。部屋の隅にいた担当の先生に目を向ける。先生が苦しそうな笑顔で言った。
「じゃあ無理矢理あててみてください」
「ゲ、マジですか!?」
 先生、笑いながらぼくに「さあどうぞ」と、生徒の方に右手を振って合図してるし。でも、中国デザインの生徒は優しいよ。困り果てたぼくと先生のやりとりを見て、何人かが手を挙げて質問してくれた。なかには「私、水島に住んでるんですけど、水島をひと言で言い表すと?」なんていう超難問まで。「それって質問じゃなくって、お題って言うんだよ」とは返さず、せっかく質問してくれた彼女には丁寧に応対した(結局そのひと言はメールで送ることにしました)。
 講義が終わった後も、何人かの生徒さんがぼくのところに話しに来てくれた。いやあ、中国デザインはいいよ。なんかのんびりしてるし。生徒は恥ずかしがり屋だけど、心やさしいし。来年はここでゼミでももたせてもらおうかな、といまやマジで考えているのであった。