新・不定点観測

赤星豊

不定点観測:vol.27 倉敷(1)

027.jpg 11月25日、金曜日。昨晩倉敷に戻ってきた。思ったより寒くなかった。家までの道はいつものように真っ暗で、星が見事なまでにきれいだった。東京にいた約1週間、星なんて一度も見なかった。ずっと天気がよかったから、見ようと思えば見れたのかもしれない。でも、東京では星を見ようとして空を見上げることなんかまずない。

 朝起きてカーテンを開けると、いきなり珍しい光景が目に飛び込んできた。ベランダに柿が20個ほど吊るしてあるのだ。我が家では初めて見る光景である。よく見ると、皮をむいてある柿とむいてない柿が半々の割合である。どの柿もかなり熟しているようで、柿の尻からは汁がぽたぽた落ちている。まあそれはよしとして、肝心なのはそこが洗濯物を干す場所で、これじゃあ洗濯物が干せないということだ。
「オトン、あの柿、いったいなんなん?」
「ああ、あれか、干し柿にするんじゃがな」
「皮があるんとないんがあるで」
「おお、やわらかすぎての、むけんかったんじゃ」
 いや、絶対違う。たしかにやわらかいけど、皮をむいてある半分も同じようにやわらかいのだ。オヤジのことはよく知ってる。断言しよう、途中で飽きたのだ。
「皮を残したやつはどうなるん?」
「わからん」
「オトン、今まで干し柿やったことあるん?」
「うーん、ない」
 70歳を過ぎてのこのお茶目なリアクションに、洗濯物をどうするのか聞くのを忘れてしまった。あの人、どうするんだろう? 洗濯担当の本人が一番困るはずなんだけど。
 料理担当のぼくには、今日はラッキーがあった。夕方、お向かいの高田さんが、ご主人が釣ったばかりのタコを持ってきてくれたのだ。高田さんはよくなんやかんやとうちに持ってきてくれる。オカンが去年に病気する前からそうだった。ご近所というのはホントありがたいね(ちなみにぼくは高田さんがもってきてくれるバラ寿司が大好きです)。夕飯に食したタコは絶品だった。倉敷の最南端の下津井でとれるタコは、明石のタコにもひけをとらないとされている。しかも釣れたばかりの生きたタコ、いやあマジでおいしかった。10回ぐらいコピー&ペーストでここに書き連ねたいぐらいおいしかった。「おいしい?」と聞くと、「おお、食べれるで」というのが最近のぼくとオヤジとの食事中によくあるやりとりなんだけど、さすがに今晩は「うまい」と言ってた。高田さんのおかげです。またいいネタ、釣ってくださいね。
 夕飯を済ませてから、下の町にある迫田整骨院でお土産を渡しに行く。ついでに肩の治療をしてもらった。隣のベッドでは、高校の同級生のマルさんが腰の治療を受けていた。「明日、息子の参観日に一緒に行かんけ?」と誘われたが丁重にお断りした。さすがにぼくの同級生はみんな大きな子供がいる。まあ、ある意味、ぼくにも大きな子供がいるようなもんだ。うちの子供はあの干し柿をどうするんだろう? 倉敷の滞在日数、2日間経過。