忘れもしない1978年、ぼくが中学3年生のときのこと。倉敷に「Lee」の一大ブームがやってきた。ブルース・リーじゃない。ジーンズの「Lee」のことである。小学生からファッションに相当に目覚めていたから、たまらなく欲しくなろうものだけど、そうはならなかった。なぜなら、ブームの随分前から「Lee」をもっていたのだ。買ったわけじゃない。うちのアニキのお古か、アニキの友達が忘れていったのか、とにかく家にあったのを見つけて自分のモノにしていた。当時は「なになに、今頃<Lee>なのお?」みたいな、ちょっと優越感さえもっていたように思う。ぼくの性格からして。
ところが不幸はある日突然やってきた。「Lee」をはいてる友達から「アカホシの<Lee>のロゴが変だ」と指摘されたのだ。「何バカなこと言ってるんだよ」てな感じで、余裕をかまして皮のパッチを比較してみた。やっぱり変だった。心なしか「L」の筆記体が大きい。さらによく見ると、「L」の下の横棒がぐるんと余計に回って、「L」の頭のてっぺんまでくっついている。「これ、もしかして……筆記体の<D>じゃない?」。そう、ぼくが「Lee」だと思い込んで自慢げにはいてたジーンズは、「Dee」なんてとんでもなくフザけたパチもんだったのである。
ブームから遅れるという屈辱感を抱いて、すぐに岡山・奉還町の「ビッグアメリカンショップ」に行った。7000円近くしたけど、買っても全然嬉しくなかった。27年も前の、ちょうど今ぐらいの季節である。蛇足ではあるが、翌79年のお正月には、晴れてこの本物の「Lee」をはいて彼女と岡山70mmグランドに『グリース』を見に行った。あのときのトラボルタのジーンズ姿、カッコよかったなあ。もろ50’sって雰囲気で、ロールアップなんかして。ぼくも真似してロールアップしてたけど、あれ、カッコ悪かったな、きっと。
11月5日、土曜日。昨日のことだけど、久々に岡山に行った。県庁の観光物産課に挨拶に行った後、奉還町の「ビッグアメリカンショップ」に打ち合わせに行った。このお店を訪ねるのは高校2年生のときにコンバースのデッドストックものを買って以来、実に25年ぶりだ。場所は同じだけど、雰囲気はまったく変わっていた。当時は実に怪しい雰囲気の店だった。ドキドキしながら買い物してたのをおぼえている。その頃は西口の町自体が怪しかった。東口は地下の一番街がもっとも華やかなりし頃で、余計にそう感じたのかもしれない。
今も奉還町の商店街は70年代の雰囲気をたっぷりで、「Lee」のジーンズをはいていた当時とそれほど変わってるように思えない。ぼくは今もこの商店街が結構好きだ。ほどよい活気があって、懐かしい感じがあって、しかも美味しいものもある。最近よく買うのが、お肉屋さんで売ってる沖縄のドーナツ、サーターアンダギー。それと、小さなお菓子屋さんが、店頭でワゴン売りしている「梶谷のシガーフライ」だ(0)。これ、子供の頃ホントよく食べた。倉敷の銘菓だとさえ思ってる。最近はあまり見かけないけど、ここんちは店頭でどっちゃり売ってる。なんせワゴン売りだから。ただモンじゃないね、このお店。昨日も3袋買って帰った。
今日も部屋の片付けをしながら「梶谷のシガーフライ」を一袋空けた。いったん袋を開けるとやめられなくなるのだ。いつかkrashjapanでも紹介したいと思う。でも、これ英訳したらどうなんだろう。「Kajitani’s fried cigar」でいいのかな。外国人が読んだら卒倒したりしないかな。「クラシキのヒト、タバコ食ベマスカ!?」みたいに。岡山の滞在時間、10時間(夜はメチャ素敵なお店で鍋食べました。場所は絶対教えられません)。